2018.04.18

NBAジャズに現れた驚異のルーキーが
「45」に込めた野球への想い

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 レギュラーシーズン終盤のロサンゼルス・レイカーズ戦でのこと。ユタ・ジャズのルーキー、ドノバン・ミッチェル(SG)はコーナーで相手からボールを奪い、前を見ると迷わずオーバーヘッドのロングパスを出した。ボールは何人かの選手の頭の上を超え、先頭を走っていたチームメイトのジョー・イングルス(SF)の手もとに絶妙にストンと収まり、イングルスはドリブルすることもなく、そのままレイアップを決めた。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

ジャズ躍進の原動力となったルーキーのドノバン・ミッチェル「まるで、ウェス・アンセルドかと思うようなパスだった」

 ジャズのヘッドコーチ(HC)、クイン・スナイダーは1970年代に活躍した名選手の名前を挙げて称賛した。アウトレットパスの名手だったアンセルドは、偶然ながらミッチェルにとって、ルイビル大の大先輩だ。

 ミッチェルからのロングパスを受けたイングルスは、試合後に冗談半分でこう言っていた。

「彼はすごく速くて力強いパスを出してくるから、受ける側としては手が痛くなるぐらいだ。最初のうちは、手袋をはめて受け取りたいと思っていたよ」

 一方、ミッチェルは「あのパスは僕の野球とサッカーの経歴が生かされたね。彼は完全にノーマークだった。その彼を見つけてパスを出せてよかった」と、満足そうに語った。

 子どものころ、ミッチェルはバスケットボールのほかに、野球やサッカーをこなすスポーツ万能少年だった。野球では投手とショート、サッカーではゴールキーパー。高校2年になるまで3つのスポーツで一番入れ込んでいたのは、実はバスケットボールではなく野球だった。

 今もつけている背番号の45番も、マイケル・ジョーダンがNBAを一時引退し、メジャーリーグに挑戦していたときにつけていた背番号だ。もっとも、1996年生まれのミッチェル自身は、ジョーダンの野球の試合はもちろん、バスケットボールの試合ですら見た覚えはないという。