ダンクする日本人、阻止する外国人。ファイナルにみるBリーグ2年目 (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO

 ただ、あるベテラン外国人選手の言葉を思い出す。

「3戦先勝ならば、ほぼ実力通り。ただし、一発勝負なら投げ上げたコインのようなもの。裏と表、どちらが出るかは誰にもわからない」

 少なくとも、このファイナルで、千葉のエース富樫のコインは裏が出た。

 シーズン終盤にケガから復帰した富樫の好不調の波は、試合ごと激しく安定しなかった。

 クォーターファイナルの対川崎戦では、第2試合で3Pシュート6本を含む8本のシュートすべてを外し0得点に終わっている。しかし、1勝1敗となり、前後半各5分で行なわれた第3戦で、富樫は7得点。しかも、ファジーカスとジョシュ・デービス(PF)に囲まれながら沈めたフローターが、試合を決定づけている。

 結果は誰にもわからない。それでも、もしファイナルが2戦先勝ならば、どんな結末を迎えたのか。約7カ月にわたり、60試合もの長期戦で行なわれるレギュラーシーズンの覇者を、一発勝負で決めるのは寂しすぎる。クォーターファイナル、セミファイナルが2戦先勝であるからなおさらだ。

 ただ、シーズン開幕前に48歳ながら未だ現役、球団社長でありBリーグの理事でもある折茂武彦(レバンガ北海道/SG)は言っていた。

「リーグの改善すべき点はいくらでもある。ただし、すぐにNBAのようなリーグになることは不可能。まだ生まれたばかりヨチヨチ歩きのリーグなのだから。改善できる点から改善し、トライ&エラーを繰り返していくしかない」

 実際、2年目のBリーグは成長を数字で証明している。

 今季レギュラーシーズンの総入場者数はB1、B2、合計で240万925人。開幕1年目だった昨季の214万7628人から約12%増加した。

 ファイナルが一発勝負なのは、テレビ放送や会場の関係だと想像できる。リーグが成長を続け、ファイナルが3戦先勝に、そしていつかはNBAのように4戦先勝になることを願ってやまない。

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