NBA東の因縁対決は「バケモノ」と「ゴートゥガイ」が敵エースを潰す (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 しかも3度目の対戦では、ウィザーズの全選手が喪服のような上下黒い服を着て会場入りした。これは、プレーオフでシリーズ王手をかけたチームが、「この試合で終わり」という意味を込めたパフォーマンスなのだが、レギュラーシーズンで行なうのは稀(まれ)だ。それほど両者の因縁は深い。

 このカードで注目を集めるのは、間違いなくセルティックスのアイザイア・トーマス(PG)だろう。

 突然の悲劇がトーマスを襲ったのは、シカゴ・ブルズとのファーストラウンド初戦の前日だった。妹が交通事故で帰らぬ人に。激しく動揺するトーマスにブラッド・スティーブンスHCは、「もし出場を望まないのであれば、それで構わない」と声をかけた。しかし、トーマスは試合に出場することを決断する。

 試合当日、トーマスのシューズには、『R.I.P. Lill SIS.』(愛する妹よ、安らかに眠れ)の手書きの文字が書かれていた。それでも、試合前の練習で涙を流し、選手紹介の最中も呆然と天を仰いでいたトーマス。いつもどおりにプレーできるはずがないと思われたが、この試合でも33得点の活躍を見せる。しかし、それでもチームは敗れた。さらに、セルティックスは続く第2戦も落としてしまう。

 セルティックスのピンチに、檄(げき)を飛ばしたのがケビン・ガーネットだった。

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