メダルはなくても。日本女子バスケが
リオで見せた「夢のような」輝き (5ページ目)
準々決勝の対戦相手は、1996年のアトランタ以来、五輪連覇を続けるアメリカ。日本戦まで、五輪で46連勝を続ける負けなしの女王だ。
そんなアメリカ相手に、日本は追いかける形であるものの、10点差前後を死守しながら試合を進める。そして第3Q残り8分25秒、本川がレイアップを沈め、いよいよ6点差(50-56)と詰め寄る。しかし、それがアカツキファイブの放った最後の輝きだった。その後は、女王の圧倒的な強さを、ただ眺める展開に終始する。
それでも、強面のアメリカ代表のヘッドコーチ、ジノ・アウリーマが初めて笑顔を見せたのは、第4Q残り7分40秒、59-89と30点差がついた時点だった。
試合後、リオで4つ目の金メダルを狙うアメリカのレジェンド、ダイアナ・トーラシが、「日本は世界のトップ4や5のチームと比べても、ほとんど差はない」と語っていたことも記しておきたい。
そして何より、試合終了のブザーが鳴った瞬間、吉田がこぼした涙は、本気でアメリカに勝ちに行った証だったはずだ。
もちろん、この大会が、今後の日本女子バスケ発展の礎(いしずえ)となることを願う。ただ同時に、世界の強豪を次々と破り、絶対王者の背中に一瞬手をかけることができたのは、このチーム、このメンバーだったからこそ起こせた奇跡なのではないかとも思えてならない。
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