2013.12.17

【NBA】ペイサーズ首位。躍進の理由は、戻ってきた「切り札」の存在

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 インディアナ・ペイサーズに、「切り札」が戻ってきた。

 といっても、昨季5試合に出場しただけで現在も故障欠場中の元エース、ダニー・グレンジャーのことではない。もちろん、復帰間近といわれるグレンジャーが戻れば、チームにとって大きな戦力となるだろう。欠場中に新たなエースとして台頭してきたポール・ジョージとの関係を懸念する声もあるが、周囲の人たちのコメントを聞く限り、心配することはなさそうだ。グレンジャー自身も、チームの顔はポール・ジョージやロイ・ヒバートであり、若くて最も才能あるジョージがこの先一番長くチームにいるであろうことを認め、「自分もこれまでの経験を生かし、チームの優勝に貢献したい」と前向きだ。

 それはともかく、戻ってきたペイサーズの切り札とは、1年間の離職後、今シーズンから再びチームのフロント職に帰ってきた球団社長――ラリー・バードのことだ。

優勝するためにペイサーズに戻ってきたラリー・バード。その手腕に注目だ 今のペイサーズの主力メンバーは、ポール・ジョージ(SG)も、ロイ・ヒバート(C)も、ジョージ・ヒル(PG)も、デビッド・ウェスト(PF)も、そしてランス・スティーブンソン(SF)も、全員バードが選んで集めた。3年前、当時のヘッドコーチだったジム・オブライエンを解雇し、37歳のフランク・ヴォーゲルを抜擢したのも、バードだった。そしてバードは、自らのビジョンを選手に植え付け、チームを復活の軌道に乗せ、2011-12シーズンにはリーグの最優秀エクゼクティブ賞を受賞した。だが、その直後の2012年6月、突然辞任を発表。そのときは、誰もが驚いたものだ。

※ポジションの略称(C=センター、PF=パワーフォワード、SF=スモールフォワード、SG=シューティングガード、PG=ポイントガード)

 球団社長の後任には、バードの師匠であり、かつてペイサーズを率いていたドニー・ウォルシュが就いた。まるで何事もなかったかのようにスムーズに引き継がれた結果、2012-13シーズンはカンファレンス・ファイナルまで進むことができた。ただ、選手にとって心の支えになっていたのは、彼らのことを信じ、ペイサーズに引っ張ってくれたバードの存在だった。