2013.06.06

【NBA】ついにファイナル!ヒートの連覇をスパーズは止められるか?

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro, AFLO

スパーズのティム・ダンカン(左)と、ヒートのクリス・ボッシュ(右)。栄光に輝くのはどっちだ? 現地6月6日、ついに今シーズンの頂点を決める「NBAファイナル2013」が幕を開ける。熾烈なプレイオフを勝ち上がったのは、昨シーズンのNBA王者マイアミ・ヒートと、ウェスタン・カンファレンスの常勝軍団サンアントニオ・スパーズ。ヒートはプレイオフ1回戦でミルウォーキー・バックスを4-0で退け、カンファレンス準決勝もシカゴ・ブルズに4-1と圧勝。カンファレンス決勝はインディアナ・ペイサーズと最終戦までもつれこむも、接戦を制して3年連続ファイナル出場を果たした。対するスパーズは、ロサンゼルス・レイカーズ(1回戦)を4-0、ゴールデンステート・ウォリアーズ(カンファレンス準決勝)を4-2、そして成長著しいメンフィス・グリズリーズ(カンファレンス決勝)を4-0と、次々に強豪を撃破。順調な勝ち上がりで6年ぶりのファイナリストとなった。はたして、どちらが栄光を掴むことができるのか。「ミスター・バスケットボール」佐古賢一氏に、ファイナルの展望を聞いてみた。

 まず、今年のプレイオフ全体を見ていて一番目立っていたプレイヤーは、スパーズのトニー・パーカーですね。これまで大事な場面で目立っていたスパーズの選手といえば、ティム・ダンカンやマヌ・ジノビリなどのベテラン勢でした。一方、パーカーはというと、大事な場面でコートサイドのグレッグ・ポポヴィッチ監督に呼ばれ、怒鳴られているシーンが多くて……。しかしポストシーズンに入ると、ポポヴィッチ監督がパーカーを怒鳴るシーンは、まったくなくなりました。その結果、パーカーは伸び伸びとプレイするようになり、思い切りのいいバスケットを展開するようになったと感じられます。

 おそらくキッカケのひとつは、ジノビリがケガなどの影響でシックスマンに回ったことではないでしょうか。ヘッドコーチが手綱を握りながら試合を進めていくレギュラーシーズンと違って、連戦の続くプレイオフは、コート上での選手の判断が重要となってきます。ジノビリがシックスマンというサポート役に回ったことで、パーカーは司令塔としての責任感が増し、それが良い形でプレイに反映できているのではないでしょうか。ポポヴィッチ監督の信頼を得られたことで、パーカーはさらなる「心の成長」を遂げたと思います。パーカーが自分流のバスケットをコートに描くようになった今のスパーズは、かなり手強いですよ。

 しかもプレイオフに入って、スモールフォワードのクワイ・レナードが著しい成長を見せています。今シーズンのスパーズは、主力選手をアウェーに帯同させないシフトを組むなど、ベテランと若手の扱いを目に見える形で分ける方針を取ってきました。ベテランを休ませるのが目的なんでが、一歩間違うと、不協和音が生じる危険性があります。そんな状況の折、チームの若手を牽引したのがレナードです。ベテランのいない試合でどうやればチームが勝てるのか、今シーズンのレナードは得点やリバウンドで大いに奮闘していました。おそらく、若手のリーダー格としての意識が芽生えたのでしょう。試合の流れが停滞しつつある場面で、レナードは攻守に渡ってチームを盛り立てています。このような選手がプレイオフになって台頭してくる点からも、スパーズの調子の良さがうかがえます。