【男子バスケ】パナソニックが最後のオールジャパンで見せた意地と絆 (2ページ目)

  • 横谷和明●取材・文 text by Yokoya Kazuaki

 チーム力が上昇気流にあるなかで迎えたオールジャパンでは、TGI D・ライズ、日立サンロッカーズ、昨年の覇者であるトヨタ自動車アルバルクを破って決勝に進出。アイシンシーホースとの大一番を前に、「ラストシーズンだけに、どうしても勝ちたいという思いは強い。特にパナソニックに長く在籍している永山さんや青野(文彦)さんらベテラン選手は、チームに対する思い入れも深いですから」と意気込みを語る木下の姿があった。そして、その胸にはもうひとつ別の思いも秘めていた。

「今回は絶対にリベンジしたい──」

 実は、パナソニックは2年前の決勝戦でアイシンと対戦し、延長戦の末に81-74と惜敗している。内容的には、勝てたはずの試合......。「こんなに悔しい思いをしたことはない」と木下は当時の気持ちをあらためて思い出していた。

 しかし、前半は完全にアイシンのペース。緊張からディフェンスが甘く、アイシンの桜木ジェイアールを起点にした攻撃を止められない。オフェンスでもゴールにアタックできず、14点のビハインド。パナソニックのバスケットがまったくできていなかった。

「自分たちのスタイルでプレイせずに負けるほど悔しいことはない。だからハーフタイムに、もう一度自分たちのバスケットをやろうとみんなで話し合いました(木下)」

 後半開始早々、木下のアシストでインサイドの要、ジャミール・ワトキンスがシュートを決めると連続6得点。次々とゴールへアタックし、開始4分過ぎには木下も3ポイントを沈める。「これはイケるぞ、というのは3Qに入ってすぐに感じました」と木下。

 3Q終了時に2点差まで追い上げると、4Qは一進一退の攻防。インサイドでワトキンスが得点、ブロックショットと獅子奮迅の活躍を見せて残り2分で逆転すると、懸命のディフェンスで最後までリードを守りきり、16年ぶり10度目の優勝を達成する。2年越しのリベンジを果たした木下は、満面の笑みを浮べていた。

「2年前と同じで追いかける展開でしたけど、絶対に集中して同じことを繰り返さないようにと言い聞かせてプレイしていました。2年前よりもみんなの気迫を感じましたね。パナソニック一筋でやってきましたけど、ようやく優勝できました!」

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