2013.01.08

【NBA】アメリカ代表のA・デイビスを差し置いて、新人王レースに大穴出現!

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Getty Images

新人王レースに突如、現れたポートランド・トレイルブレイザーズのダミアン・リラード スポーツの世界の面白いところは、予想外なことが起こる点だ。今シーズンのNBAでも、開幕時は「ほぼ確実」のように思えたことが、シーズンスタートから2ヵ月余で思いもよらぬ展開になっていることが、いくつもある。

 そのひとつが、新人王争いだ。開幕前は、昨年6月のドラフトでニューオーリンズ・ホーネッツから全体1位で指名され、ロンドン五輪のアメリカ代表入りまで果たしたアンソニー・デイビスが、ダントツの最有力候補と言われていた。しかし、デイビスが故障で出遅れたこともあり、新人王レースは予想もしない団子状態となっている。そして、その中で突如、頭ひとつ抜け出したのが、ポートランド・トレイルブレイザーズの新人、ダミアン・リラードだ。

 ドラフト6位でブレイザーズから指名されたリラードは、デリック・ローズ(シカゴ・ブルズ)やラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)と似たタイプの、身体能力・得点能力が高いポイントガードである。リラード本人も、ローズのような静かな中に秘めた強い競争心や、周囲を見返そうとするウェストブルックの尖ったところに、自分と似たものを感じると言う。

 もっとも、そう言った後で、「でも、彼らほどいい選手というわけではないけれど......」とつけ加えるところが、地に足のついたリラードらしい。

 だからといって、自信がないわけではない。むしろ今までの彼のバスケ人生は、あまり評価されない中で、自分の力を信じ、周りを見返そうとすることの繰り返しだった。バスケットボールのために入学した強豪高でまったく試合に出させてもらえなかったこと(翌年から別の高校に転校し、移った先で活躍)、高校時代の活躍の割に多くの大学からリクルートされなかったこと、さらに中堅のウィーバー大に入ってからは、活躍しても「競争レベルの高くないカンファレンスだから」と軽視され、実力を正当に評価してもらえなかったこと、そして大学3年のときに足を骨折して評価が落ちたこと......。これらはすべて、彼にとってはモチベーションを高める『燃料』となった。

 そんなリラードだが、ブレイザーズに入ってからは、彼自身が驚くほどに、周りの期待度は急騰中だ。たとえばブレイザーズのニック・オルシェイGMからは、ドラフト時に「フランチャイズを支えるポイントガード」と高く評価され、シーズンが始まってからもコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)など、少し前までは手の届かない存在だったスター選手から、賞賛の言葉をかけられている。