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【NBA】スパーズがなぜ勝ち続けるのかが分かった、ある出来事 (2ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 NBAのトッププレイヤーは、競争心が強い選手たちばかり。そんな選手たちにとって、ヒートのようなチャンピオンチームとの対戦は、楽しみにしている試合だ。どれだけ疲れていても、戦いたかったのではないだろうか。

 それでも彼らは、「チームのため」という理由だけでポポビッチの判断に従い、サンアントニオに戻った。他チームのコーチが同じことをしたら、帰らされた主力から反発を食らったかもしれない。あるいは、残った選手がその分負担が増えたことに対し、不満を言ったかもしれない。下手すると、そこからコーチへの信頼が失われ、崩壊してしまうチームもあるかもしれない。

 しかし、スパーズでは違った。

「コーチ・ポップ(ポポビッチ)は、チームにとって長い目で見たとき、一番いいと思うことをやろうとしているのだと思う」と、残留組のひとり、マット・ボナーは言う。

 チームのために一番いいこと――。つまり、チームがウェスタン・カンファレンスで優勝する可能性を少しでも高くすること。それが、ポポビッチの判断のすべてだ。そして、そのことを選手全員が理解し、受け入れているのが、スパーズの強さの一番の秘訣だ。

 ポポビッチは、決して選手に甘くない。むしろ厳しいコーチだ。スター選手であろうと、求める基準に達していないときは、容赦なくチーム全員の前で批判する。その一方で、たとえ15番目の選手であっても、ひとりひとりのことを気にかけ、見守り、チームにとって大事な存在だと感じさせることができるコーチだ。

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