2012.12.08

【NBA】スパーズがなぜ勝ち続けるのかが分かった、ある出来事

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

試合中でも容赦なく選手を叱りつけるグレッグ・ポポビッチ監督(左はティアゴ・スプリッテル) サンアントニオ・スパーズのヘッドコーチ、グレッグ・ポポビッチにとって、判断の理由は単純なことだった。「チームにとって、一番いいと思うことをやっただけだ」とポポビッチは説明した。「人から支持されるような判断ではなく、自分たちにとってより賢い判断を下そうとしているだけだ」。

 ことの経緯(いきさつ)は、こうだ。

 11月29日、スパーズは遠征の締めくくりとして、昨季のNBAチャンピオン、マイアミ・ヒートと戦うことになっていた。そのカードは全米に中継され、今季のNBAファイナル前哨戦としても注目された大一番だ。しかし、その大事な試合を前にポポビッチは、ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ、ダニー・グリーンの主力4選手をサンアントニオに送り帰した。故障や病気で出場できなかったわけではない。遠征続きで疲れていたため、2日後に予定されていた同ディビジョン内のライバル、メンフィス・グリズリーズ戦に備えて休養を取らせたのだった。

 NBAでは、すでに順位が決まったレギュラーシーズン終盤以外で、健康な主力選手を温存することは滅多にない。ましてや、トップ4選手の温存となれば、試合を投げたと思われても仕方がない。さすがにNBAコミッショナーのデビッド・スターンも見過ごすわけにはいかなかったようで、試合翌日、スパーズに25万ドル(約2000万円)の罰金を科した。これに対し、ファンやメディアの間では、「コーチの采配にコミッショナーが口を出すのはおかしい」「大金のサラリーを得ているプロなのだから、ファンやテレビの目線を無視するのはワガママだ」など、賛否両論が飛び交った。

 ここではあえて、その是非については触れない。それよりもポポビッチの判断に、選手たちが素直に従ったことに注目したい。