2012.06.23

【NBA】レブロン悲願の初優勝。
その笑顔の裏に秘められた思いとは?

  • 永塚和志●文 text Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

盟友ドウェイン・ウェイドと抱き合って喜びを爆発させたレブロン・ジェームズ 試合時間は残り3分あったが、勝負はすでに決していた。得点差は約20点。マイアミの『スリー・キングス』と呼ばれるスター、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの3人がベンチに下がる。勝利を確信した彼らは、互いに抱擁し、ようやく安堵の表情を浮かべた。

 NBAファイナル2012――。マイアミ・ヒートが4勝1敗でオクラホマシティ・サンダーを破り、実に6年ぶりの優勝を確信した瞬間である。

 第1戦、昨年のリベンジを誓いアウェーに乗り込んだヒートは、勢いに乗る若きサンダーに初戦を奪われた。しかし第2戦、敵地で一矢報いると、帰ってきたホーム3連戦を全て制し、4連勝で一気に頂点を極めた。優勝を決した第5戦は大差がついたものの、それまでの試合はいずれも接戦。ウェイドやボッシュ、そして大黒柱のレブロンが「ここぞ」というときに、勝負強さを発揮して勝利を引き寄せた。

 戦前は、得点王ケビン・デュラントを擁するサンダーが優位と見られていた。しかし、唯一懸念されていた若さと経験の浅さが、大舞台のファイナルで露呈した。デュラントは奮闘したものの、「3番目の男」と呼ばれる22歳のジェームズ・ハーデンや、プレイオフを支えたサポーティングキャストが封じられたのは痛かった。さらに、それまでチームを牽引していたラッセル・ウェストブルックが試合終盤に若さゆえのミスを犯し、試合を落としたことも響いた。

 ヒートがファイナルを制した瞬間、歓喜の中でとりわけ大きな笑顔を見せたのは、紛れもなくレブロンだ。彼には、それだけ感情を爆発させる理由があった。高校時代から類稀な才能を指して「選ばれし者」と呼ばれながら、NBAの王座には一度も手が届かなかった。過去に2度出場したファイナルでは、いずれも敗退(2007年、2011年)。特にヒート移籍1年目の昨季、ダラス・マーベリックスとの頂上決戦で力を発揮できなかったときは、敗戦の全責任を負わされた。

「あのとき、自分は未熟だった」

 頂点に王手を賭けた第5戦の前日会見、レブロンは1年前の自分をこう振り返った。

「(レブロンでは)勝てないという人に間違っていることを示したかった。そして自分のプレイを誇示しようとし過ぎた。だから昨年は、試合を楽しむ余裕がなかった」