【NBA】サンダーは新時代を作ることができるか!?

  • 佐古賢一●解説 analysis by Sako Kenichi
  • 高須 力●撮影 photo by Takasu Tsutomu Photo by AFLO

デュラント(左)とウェストブルック(右)がNBAの新時代を切り開く?デュラント(左)とウェストブルック(右)がNBAの新時代を切り開く?NBAプレイオフ2012展望
【ウェスタン・カンファレンス編】

 ウェスト(ウェスタン・カンファレンス)では、サンアントニオ・スパーズが第1シードとなりました。レギュラーシーズンの戦いを見ていて、改めて「地力のあるチームは強いな」と感じましたね。ベテランを多く抱えながらも、今シーズンのハードなスケジュールのなか、よくここまで結果を残せたなと。やはり、左手骨折で長期離脱していたエマニュエル・ジノビリの復帰が、何よりも大きかったと思います。彼が復帰したおかげで、ジノビリとトニー・パーカーとのセットが、今、相当いい動きを見せているんですよ。

 スパーズの強さの源は、ジノビリとパーカー、ふたりのガードにあると思います。身体能力の高い選手は総じて、リングに対して直線的に動くのですが、このふたりはゴール下で、円を描くように動き回ることもできるんです。ディフェンス側からすると、直線的に攻めて来る選手は、あまり動かなくていいので比較的守りやすい。しかし、円を描くような動き方をされると、ディフェンスは惑わされて一気にバランスを崩してしまうんです。するとそこに隙が生まれ、リングを狙われてしまいます。相手をかき回すジノビリとパーカーがいることで、スパーズの得点バリエーションは飛躍的に増えました。これが今シーズン、スパーズ最大の武器になっていると思います。

 ただ昨年、第1シードだったスパーズは、第8シードのメンフィス・グリズリーズに敗れてしまいましたよね。第8シードのチームが第1シードを倒したケースは、過去の歴史でも4回しかありません。「まさか」とは思うのですが、『スパーズの第1シード』というのは、ちょっと怖いですね(笑)。今年対戦するユタ・ジャズも、決して油断できない相手ですから。

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プロフィール

  • 佐古賢一

    佐古賢一 (さこ・けんいち)

    1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
    WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ

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