【NBA】「キング」レブロンも従わせる39歳ヘッドコーチの特殊能力

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 クリーブランド・キャバリアーズのヘッドコーチ、ティロン・ルーが全米のバスケファンに顔を知られるようになったのは、2001年、彼がロサンゼルス・レイカーズの選手だったときのことだ。

スター軍団のキャブスを統率するティロン・ルーHCスター軍団のキャブスを統率するティロン・ルーHC 当時、プロ3年目のルーは名門レイカーズの一員だったとはいえ、ようやく少しずつプレータイムをもらえるようになってきたばかりの若手選手だった。それでもその年、NBAファイナルで対戦したフィラデルフィア・76ersのスーパースター、アレン・アイバーソンのディフェンス役として、大事な場面で抜擢された。

 第1戦、アイバーソンのクロスオーバードリブルに食らいついていったルーは、床に倒れ、その瞬間にシュートを決められた。しかも、シュートを決めた後のアイバーソンは、倒れたルーの上をまたいでいったのだ。

 これは、アイバーソンが引退した後になっても、よく語られるシーンのひとつだ。アイバーソンはこの試合で48得点を決めたほか、シリーズ平均35.6得点を挙げる活躍をしたが、ファイナルを制したのはレイカーズ。そして、才能こそアイバーソンに劣るものの、敏捷さとタフさで負けていなかったルーの挑んでいく姿勢も印象的だった。

 アイバーソンはのちに、ルーとのマッチアップについて、こう語っている。

「ヤツとは毎回、対戦するたびに戦いだった。彼はいつもチャレンジを受け入れて、当たってきた。不思議なことに、俺らは戦うときはいつも強敵だったけれど、今となっては親友同士なんだ」

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