【男子バレー】JT創部84年目の初V。チームを変えた3人の男たち

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 優勝へのカウントダウンが始まった。

 JTが2セットを連取して迎えた第3セット終盤、レアンドロ・ヴィソットがスパイクを決めて21-19と2点差をつけた場面で、越川優主将にサーブ順が回ってきた。22点目はサントリー側のミス。23点目はノータッチエース。24点目も切り返してJTがとり、迎えたマッチポイント。越川はいつもと同じようにゆっくりとサーブ位置まで歩いて顔を上げ、ボールを受け取って深呼吸するルーティンをこなしてトスを上げた。ボールはサントリーのリベロを襲い、そのままサントリーのコートにぽとりと落ちた......この瞬間に歴史がついに書き換えられることとなった。昭和6年に創部されてから、84年目にして悲願の初優勝。昨季から指揮を執るヴェセリン・ヴコヴィッチ監督は満面の笑みを浮かべて、駆けつけた1700人を超す大応援団に向けてこう語った。

「越川優主将を始め、今季のメンバーは永遠にチームの歴史に名を刻まれることになるだろう」

JTキャプテンの越川優。キレのあるサーブ、スパイクで優勝に貢献したJTキャプテンの越川優。キレのあるサーブ、スパイクで優勝に貢献した

 4月5日(日)東京体育館で、V・プレミアリーグ男子の決勝が行なわれ、初優勝のかかるJTと8年ぶりの優勝を狙うサントリーが対戦し、3-0のストレートでJTが勝利をおさめた。ストレートとはいっても、第1セットは41-39という大接戦(※)。11回のセットポイントをしのいで相手のミスを誘ったJTがこのセットを奪うと、第2、第3セットは序盤からサーブポイントやブレイク(サーブ権があるときにポイントすること)を重ねてサントリーを突き放した。
※1セットは25点制、ファイナルセットは15点制

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