【F1】角田裕毅「タイムを削る余地が広がった」 超高速モンツァの大型リノベによって勢力図に変化あり? (2ページ目)
【新担当エンジニアは「とてもいい奴」】
角田がそう言ったのには、もうひとつ理由がある。
あのオランダGPが、2021年のF1デビューから3年半にわたって苦楽をともにしてきた担当レースエンジニアのマティア・スピニと戦う最後のレースだったからだ。
「これまで4年間一緒にやってきたマティアは上級エンジニアのポジションに昇格して、新しいレースエンジニアに代わります。僕らは2021年からいろんなアップ&ダウンを経験しながら兄弟のような関係で一緒に成長してきたので、彼の昇格はとてもうれしく思っています」
今年のチーム体制強化のなかで、本来なら開幕時点からチーフエンジニアに昇格する予定だった。しかし、角田からお願いするかたちで半年間の猶予をもらい、スピニと仕事を続けながら新担当のエルネスト・デジデリオとの関係値を築いていったという経緯があった。
「僕のリクエストでシーズン前半はマティアとやらせてもらって、後任のエンジニアに僕らがどういうことをやっているか、僕がフィーリングの度合いを1ステップとか2ステップと表わす時にどのくらいの感覚で言っているのか、といったことを学んでもらう時間を作りました。
アーニー(エルネスト・デジデリオ)は今年から入ってきたメンバーです。すでにいくつかの(FP1)セッションで一緒にやりましたし、才能があってとてもいい奴です。やる気も満々ですし、楽しみですね」
F1カレンダー屈指の超高速サーキットのモンツァにおいて、RBは苦戦を強いられそうだ。ストレートに滅法強いハースも、今年はこれまで用意していなかったモンツァ専用リアウイングを持ち込んで入賞を狙ってくる。
しかしRBも、ドラッギー(空気抵抗が大きいマシン特性)で最高速不足に苦しんだ昨年でさえ予選11位・12位に入っていた。薄いウイングで走るからこそ、コーナーではRBのメカニカル性能のよさが優位性をもたらすとも言える。
それに加えて、今年のモンツァは大型リノベーション計画の一環として路面が全面新舗装となり、路面特性が変わっている。新舗装ゆえグリップが上がり、路面の黒さのために路面温度も上がることが予想される。
そしてアスカリ・シケイン(※)などの縁石も低くなった。その結果、実質的に使えるコース幅がワイドでコーナーのR(湾曲率)も緩やかになる。
※アスカリ・シケイン=1950年代に活躍したイタリアの名レーサー、アルベルト・アスカリが事故死した場所。
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