角田裕毅、アブダビGPとの相性のよさで大逆転を狙う「不可能ではない」 (3ページ目)
【引退するフランツ・トストを笑顔で送り出したい】
少なくとも、アルファタウリも角田も最後まであきらめてはいない。
「逆転するには6位や7位でフィニッシュしなければならないので、理論的には難しいと思います(6位=8点、7位=6点、8位=4点)。でも、不可能ではない。今回持ち込んだアップグレードもありますし、メキシコやブラジルのようなパフォーマンスが発揮できれば可能だと思います。何が起きるかわかりません」
このレースは、トロロッソ時代の2006年から長らくチーム代表を務めてきたフランツ・トストの"引退レース"でもある。チーム代表として戦う最後のレースを、ランキング7位となって笑顔で送り出したいとチーム全員が一丸となっている。
「フランツとはたくさんの思い出がありますが、彼と出会っていなければ、僕はドライバーとしてだけでなく人間としても、これほどまで成長することはできなかったと思います。特に初年度の前半に僕が苦しんでいる時、彼はいつも寄り添って支えてくれましたし、ずっと僕の才能を信じ続けてくれました。
彼のためにも、チーム代表としての最後のレースでぜひともウイリアムズを打ち負かしたいと思っています。いいかたちでシーズンを終えて、彼が笑顔でアブダビをあとにできるようにしたいと思います」
決して簡単な目標ではないが、それが実現可能であると信じることができること、そして最後まであきらめずに戦えること──。
それこそが、角田裕毅とアルファタウリのこの1年の成長の証(あかし)にほかならない。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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