角田裕毅、アブダビGPとの相性のよさで大逆転を狙う「不可能ではない」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【打倒ウイリアムズを掲げるアルファタウリの執念】

「クルマの特性上の問題だと思います。ダウンフォースの効率がよくないのは今シーズンずっとわかっていたことですし、ストレートが長いと苦しいこともわかっていました。ただ、あそこまで悪いと思っていなかったです。セットアップの部分で少し改善できた部分もあったと思いますけど、そもそもクルマの特性として合っていなかったのが大きかった」

 アブダビGPの舞台ヤス・マリーナ・サーキットも長いバックストレートが2本あり、その合計は1.3kmに及ぶ。しかし、アブダビの場合はコーナーも多く、特にアルファタウリが得意とする中低速コーナーがセクター3に多々ある。ストレートの不利も、そこで十分に挽回できるというわけだ。

 事実、2021年には予選8位、決勝4位という結果を残している。2022年も予選12位、決勝11位と、昨年のマシン競争力からすれば決して悪くはない。そして角田自身も、ともにピエール・ガスリーの順位を上回っており、自信を持っているサーキットだ。

「2021年には4位でフィニッシュしたいい思い出がありますし、過去3年間を見てもアブダビはアルファタウリのクルマに合っているほうだと思います。ストレートもあるとはいっても2本。あとはコーナーばかり。

 ラスベガスのように『ほとんど全部ストレート』というレイアウトではないですし、路面のアンジュレーション(うねり)も少しあります。そういう部分では、アルファタウリはけっこう悪くないと思います」

 そしてアブダビはラスベガスと違って温暖な気候であり、タイヤのウォームアップの心配もない。

 さらには、フロアを中心としたアップグレードも投入される。最終戦ではあるが来年型マシンにつながるパーツであり、コンストラクターズ選手権7位をなんとしてでも獲得したいというアルファタウリの執念でもある。

 ウイリアムズとのポイント差は7点。1レースで少なくとも7点を獲得するのは簡単ではないが、この大型アップデートの効果でアメリカ大陸3連戦の時のようなパフォーマンスが発揮できれば、可能性はないわけではない。

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