角田裕毅の初ベガスは散々の出来 ギャンブル失敗→異音でマシンストップ...「ペナルティがないことを祈りたい」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【直後のセーフティカー導入で恩恵も受けられず...】

 チーフエンジニアのジョナサン・エドルスは語る。

「ユウキは最後尾スタートだったからアグレッシブな戦略でいく必要があり、ソフトタイヤでスタートしてポジションを上げる戦略だった。周りのミディアムやハードランナーたちはタイヤのウォームアップにかなり苦しむだろうとわかっていたから、スタートでできるだけポジションを上げ、早めにピットインして2ストップ作戦で走り切る戦略だったんだ」

 しかし、ハードタイヤが1セットしか残っていなかったアルファタウリは、アストンマーティン勢やセルジオ・ペレス(レッドブル)、カルロス・サインツ(フェラーリ)のようにスタート直後にこれを捨てて、残りすべてを"当たりタイヤ"のハードで走るという戦略を採ることができなかった。

 10周目にミディアムに履き替えたが、タイヤのウォームアップが悪かったためにグリップ不足でタイヤ表面がささくれ立つグレイニングがひどく、ペースが上がらなかった。そのため21周目、早々にハードに履き替えることになった。

 ところがその直後にセーフティカーが入り、2ストップ作戦ならしっかりと得られたはずの恩恵を受けることもできなかった。

 浮上のきっかけを掴むことができないまま、後方を走り続けるだけのレースになってしまった。最後は47周目のターン4を抜けたところでマシンから異音が発生し、ピットに戻ろうとしたが、途中でマシンを止めることになった。

「いずれにしても今日のポイント獲得は厳しかったと思いますが、突然でしたね。ギアボックスかエンジンかはまだわかっていないんですけど、次戦で(PU投入の)ペナルティがないことを祈りたいです」

 トラブルは別としても、角田の捨て身のギャンブルは成功しなかった。

「ダウンフォースを削ったことは間違いなく改善する方向だったが、2台でセットアップを分けたうち、ユウキのほうは削りすぎた可能性がある。FP3でトップスピードもラップタイムもあまりに遅かったから、何かをやらなければならなかった。なので、ああいった手法をトライしたんだ」(ジョナサン・エドルス)

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