角田裕毅は8位でフィニッシュできる可能性もあった...「完全に誤った」アルファタウリの戦略 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by TAKAHIRO MASUDA(BOOZY)

【入賞のチャンスを自ら捨てた】

 2回目のピットインはガスリーやマグヌッセンとの争いでしかなく、その時点で前のマクラーレン勢やバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)を逆転するチャンスは捨てることになる。

 つまり、34周目にノンストップのギャンブルをあきらめてピットインしてしまった時点で、アルファタウリは入賞のチャンスを自ら捨てたようなものだった。

 19番手スタートで失うものがない角田とアルファタウリは、リスクを取って入賞だけを目指して戦うべきだった。アルボンは「ライバルと同じ戦略では入賞できないから」とステイアウトを選び、茨の道とわかっていてもそれを走りきって7位入賞を掴み獲った。

角田裕毅「残念ですけどこれがレース」角田裕毅「残念ですけどこれがレース」この記事に関連する写真を見る 前だけを見てレースをしたウイリアムズとは真逆で、アルファタウリは入賞圏にもいないのに、なぜかうしろを見てレースをしてしまった。そこに両者の明暗をはっきりと分けた理由があった。

「レースペースは悪くはなかったんですけど、バルセロナの時ほどよくはなかったですね。そもそもいいポジションからスタートできていないというのが大きかったですし、(本来の)16番手スタートだったとしたらこの戦略を採ったかどうかわかりませんけど、どっちにしてもトップ10は難しかったと思います。残念ですけどこれがレースなので、次はもっとクリーンなレース週末を目指したいと思います」

 今シーズンはレースペースのよさに加えて戦略面でもうまく戦ってきたアルファタウリだが、今回は完全に戦略を誤った。

 純粋な速さが足りなかったのも事実だが、途中まではうまくいっていたギャンブル戦略をアルボンと同じように敢行し続ければ、その先に入賞のチャンスがあったこともまた事実だ。

 "直線番長"のセットアップで自分たちが持つ唯一の強みに賭け、ギャンブルを成功させたウイリアムズ。同じセットアップの方向性で同じギャンブル的戦略を採っていたのに、自らそれを捨ててしまったアルファタウリ。

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