角田裕毅は8位でフィニッシュできる可能性もあった...「完全に誤った」アルファタウリの戦略 (2ページ目)
【タイヤ交換でまさかのミス】
やがて、ハースのケビン・マグヌッセンがいつものようにペースを落とし、前のマクラーレン勢やアルボンが抜いていく。だが、角田はなかなか抜くことができない。その状況が6周ほど続き、アルボンに置いていかれてギャップが3.5秒に広がった34周目に、アルファタウリは角田をピットに呼び入れた。
「オーバーテイクできたのに!」
ちょうどDRSを使ってバックストレートでマグヌッセンに並びかけていた角田はそう叫びながらも、チームの指示を信じて従った。
後方のニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)がピットインし、さらにピエール・ガスリー(アルピーヌ)もピットインしてアンダーカットを狙っていたからだ。ここでピットインして彼らの前をキープすると同時に、マグヌッセンよりも先にピットインして逆転しようというのが、アルファタウリの戦略変更の狙いだった。
しかし、ギリギリのピットイン決定であったがゆえに右フロントタイヤの用意が遅れ、ガレージから出られなかったクルーは角田のマシンがピット前に滑り込むのを待ってから右フロントへ。これで静止時間は6.3秒となって約4秒をロスし、ガスリーにも先行を許した。
マグヌッセンはニック・デ・フリース(アルファタウリ)とのバトルで後退したが、それがなければ当然マグヌッセンをアンダーカットすることも不発に終わっていた。マグヌッセンはいずれピットインするはずで、彼が邪魔ならデ・フリースをピットインさせてマグヌッセンに揺さぶりをかけることもできたはずだったのに、アルファタウリは角田のギャンブルを断念するという選択を採ってしまった。
その一方で、角田の前にいたアルボンは後方の動きに惑わされることなくピットインせず、最後まで走り切って7位のポジションを守りきった。
角田もアルボンと同じようにステイアウトしていれば、タイヤが11周古いとはいえ、最後まで保たせることができれば8位でフィニッシュできたはずだった。端的に言えば、入賞のチャンスはそこにしかなかった。
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