「あそこは絶対に引けなかった」角田裕毅がサイドバイサイドでマクラーレンを押さえ込んだドライビングはリーダーの証 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【ピアストリとのバトルは圧巻】

 決勝のスタートではやや出遅れ、マシン性能に優るジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)とランス・ストロール(アストンマーティン)に先行を許してしまった。だが、無駄な争いを避けたという意味では悪い判断ではなかった。

 マクラーレンのオスカー・ピアストリを後方に従え、つけ入る隙を与えないどころか徐々に引き離していった。そして8周目にピットインし、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)やアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)ら先にピットインしていたライバルたちのアンダーカットを阻止する。

 セーフティカー導入を挟み、リスタートでは果敢に並びかけてくるピアストリとサイドバイサイドのバトル。ターン1でアウトから抜いていったピアストリに対し、角田はターン2でインに飛び込み、2台は並んでバックストレートへ。

 ターン3のブレーキングでアウトに並びかけるピアストリに対し、角田はインのラインを譲らず並んでターンイン。今度は右コーナーとなるターン4ではアウトに回ることになるが巧みなドライビングでサイドバイサイドをキープし、次のターン5で再びインを取ってレイトブレーキングから相手のラインを潰すように前に出て勝負を決めた。

 前日のスプリントレースとは対照的な、お互いに1台分のスペースを残しながらサイドバイサイドを続けたフェアなバトル。ここでピアストリの先行を許さなかったことが、このあとの展開を大きく変えた。

「あそこは絶対に引けなかったですね。あそこで引かなかったからこそ、この結果があるので、そこがよかったと思います」

 ここから、ハードタイヤでステイアウトするエステバン・オコン(アルピーヌ)とニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)を先頭とする集団に抑え込まれることになった。

 各車がDRSを使えるためDRS効果が帳消しになり、オーバーテイクができないDRSトレイン状態。しかし、ほんのわずかでも隙を見せればつけ込まれ、後方に続くドライバーたちに次々と抜かれていくことになってしまう。

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