「2024年にはF1に行く」史上初のF2ランキング首位に立つ岩佐歩夢は「今までの日本人にはいなかったタイプのドライバー」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【昨年のF2最終戦で学んだこと】

 サウジアラビアでは、マシンが苦しいなかでもスタートに主眼を置いてポジションを上げ、そこからは後方からのプレッシャーを受けながらも抑えきって優勝した。

「曲がりくねったセクター1は、自分が持っているポテンシャルの30〜40%くらいで、自分のフィーリングとしては1〜2秒くらい落として走っていました。というのも、ターン4のあとは絶対に抜けないので、そこからターン10まではスピードを落とすことで後続とのギャップを縮め、ダーティエアを与えてタイヤをヒートアップさせました。

 セクター1でのスピードの落とし度合いはかなりオーバーに、ふだんではしないくらいのレベルまで落としてペースを作っていました。レース後には後続のふたりから『あれはペースを落としすぎだよ(笑)』と言われましたが、それによって自分が望むレース展開に持っていくことができたと思います」

 その際に思い描いていたのは、昨年の最終戦アブダビでペースの速いF2王者フェリペ・ドルゴビッチ(22歳/ブラジル)を最後まで抑えきって優勝した時のことだったと岩佐は語る。2023年のタイトルを念頭に戦ううえで、あの経験がさらに自分を強くしてくれているのだという。

「去年の最終戦アブダビは2023年の『第0戦』として戦おうってDAMSと話していたんです。その流れが非常にうまくきていると思います。

 歴代のシーズンを見ても、とっ散らかるようなレースをしていいことは何もないのは明らかですし、まずは目の前のレースをひとつひとつ勝って、少しでもいいので改善をしていく。そしてコース上では、自分たちのできる範囲の仕事をすべてするのが大事だと思っています」

 F1チームのバックアップを受けてF1を目指す才能豊かな若いドライバーたちが、キャリアを賭けてしのぎを削るFIA F2でタイトルを争うのは並大抵のことではない。どれだけ才能があっても、速さだけで勝てる世界ではない。自分のドライビング、バトル、戦略、マシン、チームワーク......すべてを徹底的に突き詰めなければ勝つことができない世界だ。

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