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「2024年にはF1に行く」史上初のF2ランキング首位に立つ岩佐歩夢は「今までの日本人にはいなかったタイプのドライバー」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【同僚はC・ルクレールの弟】

 F2ルーキーシーズンの昨年も、DAMSのマシンは決して競争力が高いとは言えないところからのスタートだった。しかし、18インチタイヤが導入された2020年からずっと低迷してきたDAMSを、エンジニアたちとともにトップレベルまで持ち上げてきたのは、ルーキーの岩佐だった。

 用意されたマシンでなんとかしようともがくのではなく、ファクトリーに通ってシミュレーターでの作業を重ね、エンジニアとも頻繁にディスカッションを重ねたりしてきた。その結果が、昨シーズン後半の快進撃だった。

 今年も再び苦しい地点からのスタートになった。だが、焦ることなく自分がやるべきことをやり、またマシンとチームの競争力を取り戻してきた。

 今季のチームメイトは、フェラーリ育成のアルトゥール・ルクレール(22歳/モナコ)。チーム内でデータは共有しないという彼の希望で、岩佐とルクレールは個別のセットアップ作業をすることになった。実質的に1台体制のチームとなるので、当然ながらデータ量は不足する。それがチーム全体の競争力を下げることとなり、誰も得をしていない状況になってしまった。

 これに対して、岩佐は真正面から論理的にこの間違いを指摘し、まずは各ドライバーの意向よりもチームの利益を優先すること、それが結果的に各ドライバーの利益につながることを説明して、チームの方針を改めさせた。

「バーレーンのあとにチーム代表も含めてミーティングを行ない、データ共有することの目的を理解しなければいけないという話をしました。僕はその重要性を昨年の1年ですごく感じていたので、強く言い続けて、僕がレッドブルから得ている情報や、アーサー(アルトゥール・ルクレール)がフェラーリから得ている情報は共有できませんが、結果的にサウジアラビアからできるところは共有するようになりました。

 まずはドライバーズ選手権よりもチーム選手権を考えて戦ったほうが、後先を考えると自分にとってもいいと思いますし、アーサーにとってもよくなります。もちろんドライバーズ選手権は大事なんですけど、まずはチーム選手権を前提に考えて改善を進めていくのが重要だということです」

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