角田裕毅「怠け者でトレーニング嫌い」だけど...今では「もっとトレーニングをさせてくれ」と頼むようになった訳 (3ページ目)
【開幕前テストでは総合6番手】
欠点が解消されたからこそ、昨年型マシンのなかでは「長所」とされていた低速コーナーの速さでさえ物足りなくなってきたほどだ。
「低速域でのマシンバランスがまだ不安定なので、そこの最適なバランスを見つけられればと思います。中高速域は間違いなくよくなっているので、高速コーナーでのよさを犠牲にすることなく、低速コーナーでのマシンバランスを改善することが今週末のターゲットです。低速域の問題が改善できれば、いいクルマになると思います」
テストでは総合6番手のタイムを記録した。もちろん上位勢は燃料をやや重めに搭載して走行して真の実力は明らかにしていないし、中団グループでも燃料搭載量はバラバラで実力は読めない。
「3日目午後のセッションの結果を見るかぎり、アストンマーティンは速いと思いますけど、アルファロメオやハース、ウイリアムズなどとはかなり接戦だと思います。今のところ、予選は中団グループの上位で争えるのではないかと思いますし、ギリギリではありますけどQ3が狙えるんじゃないかとは思います。でも、今年は中団がさらにタイトになっているはずなので、そこがフタを開けてみてどうなっているかですね」
それと同時に2日目と3日目の午前中に行なったレースシミュレーションでは、タイヤのデグラデーション(性能低下)がやや大きく、同時刻のレッドブルはおろかアルファロメオにも後れを取っていた。
これも前述のマシンバランスが改善できれば、リアタイヤの負荷は減って改善が見られるはずだ。ただ、中団グループでポイント争いをするのは決して簡単な状況ではない。だからこそ、マシンと自分自身の実力を常に100%引き出し、やれることをすべてやりきる必要がある。
それを果たすために、やるべき努力はすべてやっている──。それが角田の目、表情、オーラに表われている。
今までとはまったく違う、角田裕毅の2023年がもうすぐ始まる。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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