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F1角田裕毅の来季チームメイトは「手強い相手」と中野信治。「学習する段階はもう卒業」とレベルアップに期待 (3ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【ハミルトンからラッセルへ世代交代】

 第21戦のブラジルGPで自身初勝利を挙げた24歳のラッセルも2022年に光った若手ドライバーのひとりです。レース運びはうまいし、ミスも少ない。ラッセルの一番の強さは、プレッシャーのかかる場面でも慌てないこと。いい意味での図々しさを持っています。

 初勝利を挙げたことで新しいシーズンは確実に強くなるだろうし、将来はチャンピオンになる可能性を秘めた選手。ただ、まだ発展途上という気がします。

 前半戦はラッセルのほうが安定して速くて、このままルイス・ハミルトンは落ちていってしまうのかなと思いましたが、後半戦はラッセルを上回るパフォーマンスを発揮していました。さすが7度の世界チャンピオンです。

 ハミルトンはスピードがちょっと落ちてきていますが、経験、タイヤの使い方を含めたレースマネジメント、周囲のスタッフをうまく動かすことなどでカバーしていました。

 そういう速さ以外の部分を、ラッセルは今、ハミルトンからいろいろと学んでいる最中だと思います。僕はハミルトンがいたからこそ、ラッセルはメルセデス在籍1年目に自身初優勝を手にすることができ、ハミルトンを上回るドライバーズランキング4位という好結果が出せたと思っています。

 逆にハミルトンもラッセルが前半戦に自分を上回ってきたから、もう一回モチベーションとギアを上げることができた。すごくいい関係だったと思います。

 でも2023年は、メルセデスが常に優勝や表彰台を狙える状況になると、どちらかを優先しなければならない時期が必ず来ます。ハミルトンはまもなく(2023年1月7日に)38歳になりますが、この年齢になっても進化し続けるのは驚異的です。ただチームの将来を考えると、メルセデスはラッセルを選ぶと思います。

 チーム代表のトト・ウルフは、ラッセルが2023年の開幕からハミルトンを上回る結果を立て続けに残し、ハミルトンがエースはラッセルだと認めざるを得ない状況をつくり出してくれることを望んでいるでしょうね。

 そうすると自然に世代交代ができる流れになります。チームとしては強引にはやりたくないはずなので、水面下ではラッセルに頑張ってほしいと期待しているでしょう。

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