角田裕毅、待ちに待った鈴鹿F1デビュー。世界一走り込んだサーキットは「隅々まで知っている」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

第6戦以来のポイント獲得へ

 アルファタウリのAT03は、決して空力性能が優れたマシンではない。

 空力性能が求められる鈴鹿ではベストなマシンとは言えないが、それでも第12戦フランスGPで投入したフロアは性能がしっかりと使いこなせるようになり、前戦シンガポールGPでは新型フロントウイングとノーズを投入してさらなる空力性能の向上を果たしてきた。これが低速のシンガポール以上に鈴鹿の中高速コーナーで効果を発揮するはずだ。

「マシンと鈴鹿との相性はそんなに悪くないと思います。ハイダウンフォースのサーキットでは苦戦する傾向があるんですけど、鈴鹿はミディアムダウンフォースなほうだと思うので苦戦するほどではないですけど、余裕でトップ10に入れるというクルマではないと思います」

 この鈴鹿でも、目標とするのはQ3進出とポイント獲得だ。

 特にポイントは第6戦スペインGPからずっと遠ざかっているだけに、是が非でもここで悪い流れを断ち切ってポイントを獲得したい。

 6位を走りながらリアウイングが壊れたアゼルバイジャンGPが好例であるように、実力としては十分に可能性があったにもかかわらず、トラブルや戦略ミス、パワーユニット投入のペナルティなどで噛み合わないままここまで来てしまった。

「いつも予選まではけっこういい感じで来られていますし、去年よりもかなりよくなってはいるんですけど、日曜日のレースで結果を出せていない、波に乗れていないというのが正直なところです。

 前半戦はどういう走り方をすればポイントが獲れるかがわかっていて、ポイントが獲れるだろうという自信もけっこうあった。でも今は、そのビジョンが前半戦ほどハッキリしていないんです。ポイントを獲れない機会が多すぎたことでそうなってしまったみたいです。なので、まずはポイントを獲って、その波を取り戻すという意味でも重要なレースになると思っています」

 初めてコースインした瞬間はどんな光景が広がっているのか? 金曜のフリー走行前、「満員のスタンドから声援を浴びながら走る姿を何度も想像してみた」と語っていた角田だが、まだそのイメージは湧かないという。

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