スーパーGT今季初優勝のホンダに笑顔なし。トヨタ&日産の後塵を拝する屈辱は、次の鈴鹿サーキットで晴らす (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

ホンダ得意の岡山でまさか...

 これにより繰り上がりで優勝したのは、3番手でチェッカーを受けたARTA NSX-GT(ナンバー8)。ホンダ勢にとって今季初勝利となった。だが、上記の理由もあってレース後の陣営に笑顔はなかった。

 しかし、笑顔がなかった理由はほかにもある。それは、ホンダ陣営にとって満足のいかないレース内容だったからだ。

 第2戦は予選からトヨタと日産が先行する形となり、決勝レースもその構図が続いた。特に開幕戦から表彰台に上がるなど調子のいい日産の新型Zは、この富士スピードウェイでも改善されたストレートスピードを武器に高いパフォーマンスを披露した。

 クラッシュした3号車は序盤から上位につけ、これまで富士で圧倒的な強さを誇っていたトヨタGRスープラを追い詰めていた。アクシデントなくレースが続いていれば、優勝していた可能性も十分にあっただろう。

 彼ら勢いのある日産勢に対し、ホンダ勢は決勝レースでも一歩遅れをとった感があった。

 今年のホンダは、タイプS仕様のNSXが発売されたのを機にGT500マシンも仕様変更に舵を切り、特にフロント部分は昨年までと比べて大きく変わった。それに合わせてマシンのダウンフォースを増やしたことで、よりコーナーで安定感が増し、着実にポイントを稼ごうという狙いがある。

 その一方で、ストレートでのスピード勝負ではライバルより劣ることになった。そのため、シーズン前から「ストレートスピードが優位に働く富士スピードウェイでのレースは苦戦を強いられるのではないか」と、ホンダ陣営のドライバーたちも予想していたという。

 ところが、ホンダが得意とする開幕戦の岡山国際サーキットでも、まさかの苦戦を強いられる結果となった。5台中4台が予選Q1で敗退し、決勝ではSTANLEY NSX-GT(ナンバー100)が意地を見せて2位に食い込むも、全体的に苦しいパフォーマンスだったのは否めなかった。

 第2戦を終えて、ホンダ陣営のエース格である8号車の野尻智紀の言葉も歯切れが悪かった。

「今回は運というか、流れが向いたのかなというのはありますが、まだまだですね」

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