ホンダF1の4年目は屈辱的危機から最高のスタートへ。トロロッソとの出会いが運命を変えた (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【ホンダのパワーは劣っていなかった】

 ジェームス・キーは新型マシンについて、続けてこう説明する。

「ただし、エアロというのはフロントとリアとマシン全体が一体となって効果を発揮するものだ。現時点のマシンはローンチ仕様であって、これから様々な新パーツが投入されていく。開幕戦オーストラリア、第2戦バーレーン、第4戦バクーと、どんどんマシンの見た目が変わっていくのが見られると思う」

 事実、この年のトロロッソはシーズン後半戦まで、意欲的にマシン開発を続けていく。

 車体のダウンフォース量とドラッグ量のバランスは、当然ながら馬力との兼ね合いで理想値を決める。前年のマクラーレンが最高速の遅さに散々苦言を呈していただけに、その点は懸念されていた。だが、ルノーと比べてもそれほど大きな差があったわけではなかったとキーは明かした。

「我々はシミュレーション上で最も速く走ることができると考えられるダウンフォース量とドラッグ量のままでマシンを設計している。実際のところ、ホンダのパワーはルノーと比べてもそんなに大きく離れているわけではない。

 去年はいろんな記事の見出しがメディアに躍ったけど、真実はまったくそんなことはなかった。去年のマクラーレンがどのように考えていたのかは私にはわからないが、我々としては現時点で自分たちの空力フィロソフィを(レスダウンフォースに)変えなければならないことはないし、ホンダのパワーがあれほど大きく劣っているようなこともないよ」

 これについてはホンダの開発総責任者である浅木も、開幕前テストでの好走を見て同じ感想を述べている。

「ウチのパワーユニットもそんなに言われているほど悪くはないのかなと思いました。まだルノーに劣っていることは確かなんでしょうけど、クルマが変われば(最高速も)これだけ変わるものなんだなと思いました。

 去年までは1チームとしか経験がなかったから、(車速が伸びないのが)パワーユニットのせいなのか車体のせいなのかもわかりませんでした。そういう意味では、こうしてトロロッソにスイッチしたことにも意味があったなと思います」

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