フェルスタッペンが再び「F1界のルール」を破ってペナルティ。なぜ同じ過ちを繰り返すのか (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【レッドブルのホーナー代表も擁護】

「あのターン1で彼が仕掛けてきて、ちょっとブラジルのときのような感じだったけど、当然僕はレイトブーキングで対抗して、あるタイミングで少しだけ前に出たと思う。そして挙動を乱してワイドになった。でも、彼もコーナーを曲がり切れていなかったし、2台ともコーナー(のエイペックス)を通過していなかったはずだ。だから、あのアクションに対してペナルティが出るのはフェアじゃないと思う。ブラジルでは問題なかったのに、今回は急にペナルティが出されたんだ」(フェルスタッペン)

 2台ともに止まりきれなかったのではなく、フェルスタッペンの無謀な飛び込みを避けたから、ハミルトンはランオフエリアに出ただけだ。コーナーへ同時に飛び込んでバトルをする場合、お互いに1台分のスペースを残すことは、今のF1では全ドライバーが共有し従っている「ルール」だ。フェルスタッペンはそれに反したからペナルティが出された。

 これは2戦前のインテルラゴス(第19戦サンパウロGP)で物議を醸しただけでなく、今シーズンすでに何度もフェルスタッペンが見せてきた強引なドライビングだ。

 ハミルトンが引いて当たらなかったから審議対象となってこなかったが、モンツァ(第14戦イタリアGP)ではペナルティが科されている。

 問題は、フェルスタッペン自身のみならず、チーム全体がそれを是としてしまっていることだ。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はレース後にこう語っている。

「2台のマシンがコースオフした時、片方のドライバーだけがその責を負うべきだと思うか? ルイスも(43周目の)ターン27でマックスを同じように押し出した。ターン1でも一度やっていたと思う。カートから様々なカテゴリーを経験してきたドライバーたちなら、あれはハードレーシングだとわかっているはずだ。

 彼らはキャリアを通してあのようにレースをしてきている。彼らふたりはそういうギリギリのマージンで限界ギリギリまでプッシュし合っているんだ。もしワイドに走らせたくないのなら、そこにグラベルトラップでも敷けばいい」

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