「自分が楽しいかどうかは、どうでもいい」角田裕毅のアシストも奏功。レッドブル・ホンダは総力戦で勝負に勝った (2ページ目)
どのマシンもインターミディエイトタイヤを痛めないよう、スティントの序盤はグレイニング(ささくれ磨耗)をいたわりながら、それが消えるのを待つ。そのなかで角田は8周目のターン3で抜かれるまでハミルトンを抑え込み、この間に11秒トップから引き離すことに成功した。
角田自身は、ハミルトンを20周は抑え、つまりフェルスタッペンとの間にピットウインドウ(ピットイン1回分のギャップ)を作り出してやろうと考えていたようだ。自分がそのバトルを楽しむか否かではなく、ホンダとフェルスタッペンのために貢献したかったと振り返った。
「自分が楽しいかどうかは、どうでもいいことです。今年はホンダにとって最後のシーズンなので、僕はマックス(フェルスタッペン)にタイトルを勝ち獲ってもらいたいんです。
だから僕は、ルイスを可能なかぎり抑え込もうとしました。何周抑え込めたのかはわかりません。タイヤをもっとセーブしようとはしたんですが、彼は速すぎました」
8周目まで抑え込んでいたと聞いた角田は、「僕は20周にわたって抑えようと思っていたんです。8周では十分ではありません」と不満げな表情で語った。
角田はインターミディエイトをいたわるための重要なスティント序盤に攻めたことで、タイヤのダメージが進んでしまった。ハミルトンに抜かれたあとは前のランス・ストロール(アストンマーティン)についていけず、カルロス・サインツ(フェラーリ)にも抜かれて前の集団からは引き離されていった。
そして10番手走行中の22周目、ターン9の縁石に乗ってスピンを喫して13位まで後退。アルファロメオ勢に挟まれる格好になり、ピットストップでキミ・ライコネン(アルファロメオ)に逆転を許す。角田はその後もペースが上がらず、アルファロメオ勢に15秒以上も置いていかれてしまった。
「ハミルトンとのバトルで序盤にタイヤを使いすぎてしまって、ペース的には厳しくなっていました。そのバトルでの泥汚れでミラーがまったく見えなくなってしまって、後ろに1台迫って来ていると思って引き離そうとプッシュしたところ、スピンしてしまったんです。あのスピンですべてが台無しになりました。今日はポイントが獲れたはずのレースだっただけに、すごく残念です」
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