フェルスタッペンとハミルトンの危険なバトル。大きな代償を払ったのはどっち (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 また、決勝1周目の第2シケインでは、フェルスタッペンのアウト側に並んだハミルトンはターン5への切り返しでスペースを残してもらえず、縁石の外へと回避してポジションをひとつ落としている。

 フェルスタッペンの考える「ハードレーシング」の線引きは、自分が攻める側にいる時とディフェンスする側にいる時で変わる。相手には引くことを要求するが、自分は同じことをされた時に引かない。

 ハンガロリンクでフェルナンド・アロンソとハミルトンの間で絶妙なバトルが見られたのは、彼らの間で「ハードレーシング」の線引きが共有されていたからだ。しかし、フェルスタッペンとの間にはその共通認識がない。だから当たってしまう。

「彼らふたりの接戦バトルは今年何度も繰り広げられてきたし、必然だ。彼らはモータースポーツにおける最大の賞典を争っているわけだからね。今後も非常にタイトな争いが続くだろうし、残りのレースでもお互いに激しい戦いを繰り広げるだろう。まぁ、ほかのサーキットではもう少し2台で戦うスペースはあるだろうけどね」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はそう語るが、問題の本質を理解しなければ同じような事故は何度も起きるだろう。それでドライバーズチャンピオンが獲得できるのだろうか。

 イタリアGPのレッドブル・ホンダはスプリント予選で余裕の勝利を手にするチャンスを掴んだものの、決勝ではスタート、戦略、ピットストップ、そしてインシデントですべてを失った。

 それは別にしても、0.411秒という大きな差をメルセデスAMGにつけられたことはショッキングだった。 

「パフォーマンスとしては、予選の結果がすべてだと思います。決勝のボッタス選手の走りも含めて、メルセデスAMGが完全優位という状況だったと思います。

 そんななかでも、スプリント予選の結果やボッタス選手のパワーユニット交換によってマックス選手がポールポジションスタートといういい形になっていました。ですが、今日はピットストップの遅れもありましたし、接触リタイアとなり、いい流れが大きく崩れてしまったと感じています」(田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクター)

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