中野信治も驚いた元世界王者ふたりの活躍。今季F1でベテランはなぜ再起できたのか? (5ページ目)

  • 川原田 剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo

 ハミルトンに対して過度なプレッシャーをかけず、なおかつ気持ちを緩めさせないという部分では、メルセデスにとって理想的なチームメイトだと思います。でもラッセルという存在が現れ、自分のシートがどうなるかわからないというプレッシャーにさらされている状況のなかで、ボッタスのドライビングに迷いというか、乱れが現れています。

 その乱れが最初はほんの少しだったのですが、徐々に広がり始めているように見えます。そうなってくると、悪い流れを断ち切ることは困難です。周りからいろんな声が聞こえてきて、ドライバーは知らず知らずのうちに心理的な重圧に飲み込まれ、本来の力を発揮できなくなっていきます。いくら平気だ、関係ないと言っても絶対にプレッシャーがかかるんです。今、ボッタスはクリアな精神状態で戦うことは難しいと思います。それほどF1はメンタルが重要なスポーツなんです。

 後半戦がスタートすると、来年のドライバーの契約を決めければいけない時期になります。メルセデスがハミルトンのチームメイトについてどんな判断をし、いつ発表するのか。それが今年のタイトル争いに大きな影響を与えるポイントになっていくのかもしれません。

(終わり)

【プロフィール】 
中野信治 なかの・しんじ 
1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのCARTおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を活かし、SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)副校長として若手ドライバーの育成を行なっている。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や2021年からスタートしたF1の新番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当している。

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