速すぎて、強すぎて、つまらない。レッドブル・ホンダ4連勝にハミルトンも脱帽 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 チェッカードフラッグを受けた直後は、「やれるだけのことはやったよ」というエンジニアからの無線に「いや、もっとやれたと思う。バカみたいにプッシュしなければ簡単に抜けたはずだ」と角田は言った。だが、レースの全体像はエンジニアのほうがよく見えている。プッシュをしてサインツの前にとどまること、もしくはあそこでアロンソやストロールを抜くことができていれば、角田のレースはもっと違ったものになっていた。

 タイヤの状況が誰よりもわかっているのは、もちろんコクピットにいるドライバー自身だ。だからこそそれをチームに伝え、正しい戦略判断を下してもらうよう最大限のフィードバックをしなければならない。

「タイヤのフィードバックを十分にチームに伝えられていなかったと思います。そのせいで僕の置かれた状況をチームが把握できていなくて、僕に対してもっとプッシュしろと急かすような状況でした。それで僕はスティントの序盤にタイヤを使いすぎてしまって、最後に2台のマシンを抜くのに十分なタイヤの余力が残されていなかったんです。

 もし、僕が毎ラップのようにタイヤの状況をフィードバックできていれば、チームは状況をもっと正確に把握することができた。もしかしたら別の戦い方を選んでいたかもしれませんし、(アロンソとストロールを抜いて)8位でフィニッシュできていたかもしれません」

 レースはひとりでやっているわけではない。ドライバーひとりのためにやっているわけでもない。チーム全員の力を合わせなければ、勝つことはできない。

 レース週末3日間をミスなく走り切ったからこそ、こういう課題が見えてきた。

 そういう意味では、角田とアルファタウリ・ホンダにとっては間違いなく大きな一歩だった。本当ならばもっと早く、踏み進んでいなければいけなかった一歩だったかもしれない。

 しかし今なら、まだ挽回は可能だ。ここから角田が急激に成長していく姿が見たい。

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