中野信治がホンダF1の戦力を分析。レッドブルのペレスに期待できる理由 (2ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄(マシン)、村上庄吾(人物)●撮影 photo by Sakurai Atsuo, Murakami Shogo

 ただ開幕戦からいきなりフェルスタッペンのようにマシンの性能を引き出すことを求めるのは酷です。プレシーズンのテストは3日間しかありませんでしたし、ペレス本人も「クルマに慣れるまで数戦はかかる」と言っているようです。もう少し長いスパンで見ていく必要がありますが、ペレスが開幕戦でそこそこの走りができていれば、クルマがいい方向にいっている証明になりますので、今シーズンは期待できると思います。

 アルファタウリ・ホンダの角田裕毅選手(以下、選手略)には、ぜひ日本人初の優勝を実現してほしいと心から願っています。F1で勝つことは、僕を含めて数多くの日本人ドライバーが達成できなかった大きな夢です。日本のレースファンが長い間待ち望んでいた夢を角田が叶えてくれたら本当にうれしいですし、それだけでなく彼の活躍が今後の日本のモータースポーツ界の行方を大きく左右すると僕は考えています。

 今、時代が大きく動いているなかで日本でもモータースポーツのあり方があらためて問われています。そんな中で、もし角田が世界最高峰のF1で優勝することができれば、一般からの注目度が上がり、さまざまな可能性が広がっていきます。当然、レースを目指す若者も増えるだろうし、日本のレース界が今のレベルを保つための大きな起爆剤になりえると考えています。

 今季限りでホンダがF1を離れることになり、若いドライバーたちはF1という夢が遠ざかっていくと感じています。しかし角田が活躍すれば、彼らのF1への夢がつながっていく。今年から19歳の岩佐歩夢が、フェルスタッペンやガスリー、角田を輩出したレッドブルの若手ドライバー育成プログラム「レッドブルジュニアチーム」のメンバーになることが決まりました。

 僕は今、ホンダで若手ドライバーを育成する立場にありますが、岩佐の下の世代にも若く才能あるドライバーがたくさんいます。日本のF1の歴史を途切れさせないためにも、角田には期待しています。

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