角田裕毅にF1名フォトグラファーも大いに期待。「今までで一番」 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 五十嵐和博●写真(プロフィール) photo by Kazuhiro Igarashi

2020年サクヒールGPを制したセルジオ・ペレス。21年はレッドブル・ホンダから参戦する(熱田護=撮影)2020年サクヒールGPを制したセルジオ・ペレス。21年はレッドブル・ホンダから参戦する(熱田護=撮影)●今年から新たにセルジオ・ペレスが加入したレッドブルは、7年連続でコンストラクターズタイトルを獲得しているメルセデスと互角の勝負ができると考えていますか?

桜井 ペレスは第16戦のサクヒールGPで逆転優勝し、レッドブルのシートも決めました。ペレスはチャンスをつかむのが本当にうまい。上位勢に波乱が起きるレース展開になると、必ず表彰台に上がれるところにいます。そういうところにいる実力があるから勝てるんですよね。それにタイヤのマネジメントも上手ですし、ザウバー時代には可夢偉を上回る成績を残していましたからね。

熱田 ペレスが昨年速かったのは、レーシングポイントのマシンがよかったというのも大きいと思います。あのマシンにフェルスタッペンが乗っていたら、もっとガンガン勝っていたんじゃないかと思うくらいです。ペレスは速いですが、フェルスタッペンやルクレール・クラスのドライバーではなく、ガスリーやアルボンとあまり変わらないのかなって......。

桜井 いずれにせよレッドブルがチャンピオン争いに加わるためには、これまでのようにフェルスタッペンだけが上位に食い込むのではダメ。チームメイトのペレスも同時に上位に来ないと、タイトル争いはできません。メルセデスはボッタスとハミルトンのふたりが頑張っているので、コンストラクターのタイトルが取れるし、ハミルトンもチャンピオンになれるんです。ふたりのドライバーが戦えるクルマになっていないと、メルセデスと勝負するのは難しいと思います。

熱田 今年はレギュレーションが大きく変わっていないこともありますし、昨シーズンのメルセデスとレッドブルの差を見てしまうと、メルセデスとコンスタントに勝負できるとはとても思えません。コースによっては接近していたところもありますが、それ以外は一周回って帰ってくると、大きな差がついてしまっています。テレビで見るとあまり差がついていないように感じますが、現場で見ると、ものすごいギャップですからね。

桜井 1周目で1秒以上違うサーキットもありますからね。

熱田 フェルスタッペンは必死に3位を走っていますが、メルセデスの2台にまったく追いついていけない。それぐらいパッケージとしての差がついています。そのギャップを埋めるためには、技術的なブレークスルーとか、とんでもない裏技のようなものを見つけない限り、難しいと思います。冷静に見ると、チャンピオン争いをするのはかなり難しいと言わざるを得ません。しかし可能性はゼロではないので、レッドブルがいいパッケージを仕上げてくることを期待しています。

(後編につづく)

【profile】 
熱田 護 あつた・まもる 
1963年、三重県鈴鹿市生まれ。二輪の世界GPを転戦した後、91年よりフリーカメラマンとしてF1の撮影を開始し、2019年のベルギーGPでF1取材が500戦を達成した。19年末に刊行した写真集『500GP フォーミュラ1の記憶』(インプレス)は好評で、完売間近。

桜井淳雄 さくらい・あつお
1968年、三重県津市生まれ。91年の日本GPよりF1の撮影を開始。これまでに400戦以上を取材。F1やフェラーリの公式フォトグラファーも務める。新型コロナの影響もあり、20年は現場での撮影を断念したが、今シーズンは開幕前のテストを含めて全レースを取材する予定。

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