2020.12.15

レッドブル・ホンダの速さは本物。最終戦でメルセデスAMGに追いつく

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 マックス・フェルスタッペンとレッドブル・ホンダが、ついに表彰台の頂点に立った。

 8月の70周年記念GP以来、最終戦のアブダビGPで実に4カ月ぶりの勝利。それも、あの時のようなタイヤの波乱に乗じてではなく、真っ向勝負でメルセデスAMG勢を下しての勝利だ。

最終戦を制してガッツポーズのフェルスタッペン 予選ではベストセクターがなかったものの、最後のアタックラップを高いレベルでまとめ上げ、0.025秒の僅差でポールポジションを奪った。

 決勝の問題は、後ろにメルセデスAMGの2台が控え、それぞれ別々の戦略で揺さぶりをかけてくるだろう、ということだった。アレクサンダー・アルボンが予選5位に終わり、1対2の戦いを強いられるレッドブルとしては、1度きりのピットストップをどう切り抜けるかが勝負の分岐点であることは明らかだった。

 フェルスタッペンはスタートを決め、メルセデスAMG勢にアンダーカットを仕掛けられないようにギャップを広げて維持した。

「スタートできちんとメルセデスAMGの2台を抑えて1コーナーに入っていった時点で、まずひとつホッとしました。ただ、向こうは2台持っているわけです。2台でアンダーカットとオーバーカットを仕掛けたり、セーフティカーが出た時に1台だけ入れたりとか、戦略を分けることでマックスの前に出るという可能性がありました。ある程度のギャップがつくまで、ひと段落できませんでした」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 しかし10周目、セーフティカーが入ったことで、ほぼ全車がピットストップを済ませることになった。つまり、これでピット戦略をめぐる1対2の戦いは回避されたのだ。

「あのタイミングでほぼ全車がハードタイヤに換えたことで、(その後の)タイヤ交換のタイミングで前に出たり後ろになったりがなくなり、レースがシンプルでわかりやすい展開になりました。そのぶんだけ、またひと段落しましたね」

 田辺テクニカルディレクターはそう振り返るが、残り45周をハードタイヤで走り切らなければ負けてしまう。タイヤの摩耗としては事前データからいってもギリギリの距離で、実際に走り始めたドライバーたちからは「このタイヤでは最後までいけない」という無線があちこちから聞こえて来ていた。