2020.10.01

加藤大治郎という天才ライダーの生きた証。その走りは決して色あせない

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

MotoGP最速ライダーの軌跡 
日本人ライダー編(1) 加藤大治郎 

世界中のファンを感動と興奮の渦に巻き込んできた二輪ロードレース界。この連載では、MotoGP歴代チャンピオンや印象深い21世紀の名ライダーの足跡を当時のエピソードを交えながら振り返っていく。
日本人ライダー1人目は、加藤大治郎。世界最高峰の舞台での活躍を確実視されながら、26歳の若さで旅立った天才の歩みをたどる。 

2002年チェコGPにて。加藤大治郎は2位表彰台を獲得
「去る者は日々に疎(うと)し」という言葉がある。しかし、その生きた証が年月の経過に関わりなく決して色あせない人々がごく稀にいる。

 加藤大治郎という人物は間違いなく、そのひとりだ。

 あれから17年以上の時間が経過したことが、にわかには信じがたい気もする。もう17年、といえばいいのか。あるいは、まだ17年、という方が妥当なのか。

 そのあたりは個々人の時間感覚によってさまざまだろう。だがいずれにせよ、ひとつ確かなことは、加藤の現役時代を知らない世代の選手たちがいま続々と成長し、活躍し始めていることだ。その中で、とりわけ日本人選手たちに共通しているのは、加藤が活躍した時代を知らない若いライダーたちも、彼らの先輩たちと同様に、いまだ見ぬ加藤の背中を追い続けることをおそらくは運命づけられている、ということだ。そしてその影を乗り越えられたときに、彼らはきっと世界のトップライダーとして屹立(きつりつ)することになるのだろう。