トヨタが意地の逆転劇。「スープラ」の名を汚すわけにはいかない

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 スーパーGTシリーズは早くも後半戦に突入。10月3日・4日には静岡県の富士スピードウェイで第5戦が行なわれた。

 これまでは新型コロナウイルス感染拡大防止のため無観客で開催されていたレースが、今回からマスク着用やソーシャルディスタンスの確保、入場時の検温など対策を講じたうえ、人数を限定して観客動員することとなった。グランドスタンドはスーパーGT観戦を心待ちにしていたファンの熱気にあふれ、かつての盛り上がりが少しずつサーキットに戻りつつある。

「GRスープラ」でシリーズチャンピオンを狙うトヨタ「GRスープラ」でシリーズチャンピオンを狙うトヨタ トヨタ、日産、ホンダがしのぎを削るGT500クラスのシーズン前半を振り返ると、開幕戦ではトヨタがトップ5を独占する強さを見せ、シーズンを圧倒するかに見えた。だが、中盤戦に入ってホンダ勢が巻き返して年間ランキングでもトップを奪い、当初の「トヨタ絶対有利」という雰囲気は崩れつつある。

 この第5戦でも、予選から輝きを放ったのはホンダと日産だった。ナンバー8のARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が今季2度目のポールポジションを獲得し、予選2番手はナンバー12のカルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴)が奪取。トヨタは最前列を確保できなかった。

 そして決勝でも、トップ争いを繰り広げたのはホンダと日産。トヨタは今回、我慢を強いられながらレースを終えるかと思われた。だが、後半になると、レースの流れは一転する。

 巻き返しを演じたのは、ナンバー39のDENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)。5番グリッドから徐々に順位を上げていくと、レース中盤のピットストップ直後に流れを読みきってトップに浮上。そのままポジションを守りきり、今季初優勝をマークした。

 また、12番手からスタートしたナンバー14のWAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)も怒涛の追い上げを見せて2位フィニッシュ。さらには開幕戦を制したナンバー37のKeePer TOM'S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ)も4位に食い込み、終わってみればトヨタ勢がトップ5に3台入る活躍を見せた。

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