「いぶし銀ライダー」は就活中。玄人受けするドヴィツィオーゾの魅力 (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●写真 photo by Takeuchi Hidenobu

 21年以降の契約更改を巡り、さまざまな駆け引きと交渉の後、今年8月中旬に「来季はドゥカティの契約を更新しない」と発表して世の中を驚かせた。だが、いまドゥカティを離れたところで、来シーズンのシートはすでにほとんど埋まっている。どこかに新たな行き場のめどがあるわけではないのだ。

 それだけに、発表当日や翌日は契約を更新しない理由についてさまざまな質問が飛んだ。だが、手をかえ品をかえ訊ねられても、「今はまだ話す時期じゃない」と述べるのみだった。

 今シーズンのドヴィツィオーゾは、レザースーツの腰の部分に「Undaunted(不撓不屈)」というキャッチフレーズを貼り込んでいた。それが、第8戦のエミリアロマーニャGPでは「Unemployed(失業中)」という文字に変わった。ふたつの英単語を比較すればわかるとおり、ある意味、自虐的な駄洒落である。

 潜在的失業者という立場を自ら選んだドヴィツィオーゾは、しかし、20年シーズン第8戦を終えた現在、ランキング首位に立っている。

【profile】 
アンドレア・ドヴィツィオーゾ Andrea Dovizioso 
1986年、イタリア・フォリンポポリ出身。16歳でロードレース世界選手権125ccクラスにフル参戦。2005〜07年を250ccクラスで過ごし、08年にMotoGPクラスにステップアップした。13年に移籍したドゥカティで現在まで戦っているが、20年8月に翌年以降の契約更改をしないことを発表。今後の動向に注目が集まっている。

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