2020.09.25

レッドブル・ホンダの課題を中野信治が指摘。「僕も経験した状況が再び」

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●写真 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

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「中野信治が占うF1・2020年シーズン後半戦」前編 


新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れ、7月のオーストリアGPからスタートした2020年シーズンのF1グランプリ。12月の最終戦アブダビGPまで全17戦で行なわれることが決まったが、早くもシーズンの折り返しを過ぎたことになる。前半戦は王者メルセデスとルイス・ハミルトンが圧倒的な強さを見せつけたが、その要因は何なのか? そして、レッドブル・ホンダに逆襲のチャンスはあるのか? 元F1ドライバーでDAZNの解説者を務める中野信治氏に話を聞いた。  

中野信治氏は、レッドブル・ホンダのマシンの「扱いづらさ」を指摘する 今シーズンのF1は開幕が約4カ月遅れました。レース数も当初予定されていた22戦から17戦に削減されるという状況の中でシーズンが始まりました。

 延期の期間中、各チームやパワーユニット(PU)供給メーカーのファクトリーは長い間、閉鎖され、十分な準備期間や開発時間を取ることができませんでした。そうなると、開幕前のテストから圧倒的な速さを発揮していたメルセデス、つまり、もともといいクルマとPUを持っているところが強くなるのは自明の理です。

 シミュレーションをするにしても、メルセデスは一番いいデータを持っていただろうし、開発能力も高い。さまざまなシミュレーションをこなし、ライバルチームとの差をどんどん広げていったのだと思います。シーズンの前半戦、メルセデスが強さを発揮した理由は、シンプルにそういうことだと見ています。

 逆にレッドブル・ホンダは、新型コロナウイルスの影響でメルセデスに追いつく時間を失ってしまいました。しかもレッドブル陣営にとって、開幕時点のメルセデスの速さは予想以上だったと思います。メルセデスの実力をもっと早い時期につかんでいれば、いろいろと手を打てたと思いますが、後手後手に回っている印象は否めません。

 前半戦、レッドブルが優勝したのはイギリスのシルバーストンで開催された第5戦の70周年記念GPのみ。今シーズンのレッドブルは、マシン特性にピッタリと合ったコンディションとタイヤが投入された時は、メルセデスに迫り、優勝するチャンスがあります。でも大半のレースではメルセデス、特にハミルトンと勝負するところまでもっていけていないというのが現実です。