MotoGPホンダの神童ダニ・ペドロサ。苦難を戦い抜いた小柄なヒーロー (3ページ目)
性格ということについていうならば、ペドロサのキャラクターは、いわゆる目立ちたがりや派手好みというあり方からは対極にある。真面目な性格、と断言しても反論する人はほとんどいないだろう。にもかかわらず、というべきか、だからこそ、というべきか。ふとした拍子に彼が照れたように笑うときは、大いに人を魅了する。
また、そんなキャラクターゆえ、ペドロサは似たような性格の青山博一と意気投合したのだろう。青山は09年に250ccクラスのチャンピオンを獲得し、現在はMoto2とMoto3のホンダ・チーム・アジア監督を務めているが、彼が04年に250ccクラスのフル参戦デビューを果たした時、チームメイトになったのがペドロサだった。それを機に、彼らはパドックで最も仲の良い友人同士として、自他共に認める強い信頼関係を築き上げる。かつて、MotoGP公式サイトが「理想のチームメイト」を選手たちに訊ねる企画を実施した際には、ペドロサは躊躇(ちゅうちょ)せず青山の名前を挙げた。青山もまた、ペドロサが現役からの引退を発表した際には、会場に駆けつけた。
06年段階に話を戻すと、最高峰クラスデビュー戦を2位で終えたペドロサは、4回のポールポジションと8表彰台(優勝2回、2位2回、3位4回)を獲得し、この年のランキングを5位で終えた。
2006年、MotoGP中国GPのペドロサ 初年度を終えて、まだ21歳。デビューシーズンにこれだけの成績を残していることから、彼の前途は見るからに洋々だった。スペイン念願のMotoGPチャンピオン獲得は、近い将来にほぼ間違いなく彼が達成するだろうと思われた。
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