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コロナ禍でF1も危機。4チームが来季を待たずに消滅する可能性も (4ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 これまで、F1だけでなく様々なエクストリームスポーツの「パトロン」となってきたレッドブルだが、オーストリアに本拠を構えるレッドブルグループの総帥、ディートリッヒ・マティシッチ氏が今後も2つのF1チームに出資し続けられるのか? 一部にはレッドブルがアルファ・タウリをホンダに売却するという噂もあるが、そのホンダも含めて、今回のパンデミックでは自動車産業全体が大きなダメージを受けているため、この状況で「F1チームを買収する」という決断を下すのは簡単なコトではないだろう。

 実際、ルノーがスタッフの解雇に踏み切ったことは、自動車メーカーのワークスチームもまた、コロナウイルスの影響を免れないことを示している。ルノー、メルセデス、アルファロメオは自動車販売事業の再建に専念しなければならず、モーターレーシングチームは望まない重荷になる可能性がある。

 新車販売は崩壊しており、FIA会長のジャン・トッドですら、このスポーツにおけるワークスチームの将来を懸念していることを認め「多くのチーム、サプライヤー、メーカーが計画を見直さなければならないかもしれないし、中止せざるを得ないかもしれない」と語っている。

 この大きな財政的脅威に対抗するために、FIAは2021年の新しいレギュレーションの導入を2022年まで延期することを決定。チームは2020年のマシンを2021年も引き続き使用できるようになった。加えて、来シーズンにはついに年間のチーム活動資金の上限を定めたコストキャップが導入されることになったが、年間1億7500万ドル(約188憶5000万円)の支出制限はまだ高すぎると感じているチームが多く、少なくともさらに2500万ドルの削減を望んでいる。

 現在のパンデミックは我々の日々の暮らしを変えつつあり、その将来をも大きく変えようとしている。それはF1の「今」や「未来」に関しても同様であり、1年後のF1の景色が、今のそれとは大きく異なっていても不思議ではない。

(川喜田研●翻訳 translation by Kawakita Ken)

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