2020.04.29

シャイなアロンソは日本の心も持つ。
純粋な輝きを、もう一度見たい

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

記憶に残るF1ドライバー列伝(2)
フェルナンド・アロンソ

 2012年シーズン終盤のある日、フェラーリのホスピタリティユニットで食事をしていると、歩み寄ってきたフェルナンド・アロンソが言った。

「今度、僕の両親の名前を漢字で書いてくれないか? これがその名前なんだ」

低迷期のフェラーリで奮闘していた頃のアロンソ そう言って照れくさそうに手渡したメモ用紙には、ふたりの名前が書かれていた。誕生日プレゼントに名前を漢字で書いて何かをプレゼントしたいということだった。

 フェラーリに来て3年目のこの年は、最もタイトル争いに近づいていた。

 普段の取材では、レーシングドライバーとしての絶対的な自信を見せ、数字を交えながらレースのことを事細かに語ってみせる。すでにそれだけの風格が、彼にはあった。

 しかし、F1ドライバーというステージを一歩降りれば、スペイン人なのに陽気というよりもシャイなところが、本来の彼の姿だった。

『葉隠』を読んで武士道を知り、日本の侍文化が好きになったというのは、この頃だ。