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コロナ禍でF1も危機。4チームが来季を待たずに消滅する可能性も (2ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 今、最も大きなリスクに直面しているチームのひとつが、名門・ウィリアムズだろう。新型コロナウイルスの流行で今季F1の開幕が遅れるなか、チームは今年4月に入って、同社の「アドバンスドエンジニアリング部門」の売却を発表。そのうえ、このビジネスに留まるためにさらに融資を受けなければならなかった。ちなみにチームのファクトリーと、この名門チームの歴史を彩ってきた貴重なグランプリカーのコレクションを担保にしているという。

 また、ウィリアムズは当面のチーム運営資金を節約するために、チームスタッフの一部を一時帰休させることを発表したチームのひとつであり、レーシングポイントとルノーも同じ動きを見せている。これは、従業員を解雇せずに「一時帰休」という形で休ませる場合、英国政府が彼らの賃金の80%を負担する政策を打ち出しているからで、今後、英国内にあるほかのチームもこれに続くと予想されている。

 そもそも、ウィリアムズはここ数シーズン苦しい戦いを強いられており、スポンサーシップにも恵まれていない。そのため、最もリスクの高いチームとして誰もがリストのトップに挙げていたチームだ。

 現在、資金面で唯一の支えが、今季からチームに加入したカナダ人ドライバー、ニコラス・ラティフィの家族が持ち込むスポンサーマネーだが、これは「持続可能なモデル」とは言い難い。チームが彼に競争力のあるマシンを提供できなければ、ラティフィはチームを去る可能性が高く、それと同時にウィリアムズは資金を失ってしまうからだ。それはこのチームがかつて、ドライバーのランス・ストロールと共に、最大のスポンサーであるストロールの父の支援を失ったのと同じ構図だ。

ニコラス・ラティフィの存在はウイリアムズにとって重要だニコラス・ラティフィの存在はウイリアムズにとって重要だ しかも、ウィリアムズは今季よりも、F1の技術レギュレーションが大きく変わる2021年シーズンに照準を定めていた。ところが、今回の新型コロナウイルス流行の影響で新レギュレーションの導入は2022年に延期されることが決定。仮にチームが2020年を生き残れたとしても、2021年は戦闘力に劣る2020年型のマシンの発展型で戦わざるを得ないため、厳しい年になることは避けらない。

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