F1ビジネスの未来。トロロッソがアルファタウリにチーム名変更の意味 (5ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 このように見てくればわかるとおり、F1チームの運営はすでに以前から、MLBやNFL、NBAのようなアメリカ型のフランチャイズ方式のようなものになっている。シーズンを戦うのはいつも同じチームでありながら、F1に参入する自動車メーカーやスポンサーの事情によって、オーナーや名称が変わっていく、というわけだ。

 ただし、現在のF1に限って言えば、本来の「参戦権」という意味で、フランチャイズが「資産」とはなり得ていない。というのも、F1のチーム数が現状では「満席」になっていないからだ。この10年余りにF1に参戦した新チームのうち、USF1やケータハム、HRT、マノーはいずれも財政破綻し、新たに参入してきたのはたった1チーム、ハースのみである。

 現在、F1の最大参戦チーム数は13チーム26台に制限されているが、2020年シーズンは3つのガレージ、6台分のスペースが空いているのが現状だ。

 これらのスロットがすべて埋まれば、各チームが持つ「参戦権」の価値は大きく上昇し、メーカーやブランドがF1に参入しようとする際にも既存のチームを買収することが唯一の方法になるだろう。そしてそれこそが、本来的にフランチャイズシステムと呼称すべきビジネスモデルである。実際に、F1を運営するリバティメディアは、このフランチャイズシステムの導入に意欲的であると言われている。

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