F1ビジネスの未来。トロロッソがアルファタウリにチーム名変更の意味 (4ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 こうして、F1の歴史の中でチーム名やブランディングが頻繁に変更されてきたのは、自動車メーカーやスポンサー企業のレースに対する関心や投資が、時代と共に変化してきたからだ。彼らは自分たちのマーケティング戦略や企業としての優先度の変化に応じてF1への参入や撤退を繰り返し、そのたびにF1チームの人材や施設だけでなく「チーム名」や「参戦権」までもが「資産」として売買の対象となった。

 長年、スイスに本拠を構えるザウバーが、チームの実態はそのままに、2019年シーズンからイタリア色の強いアルファロメオ・レーシングとなったのもその好例で、2020年シーズンのF1は、アルファロメオとアルファタウリという、ふたつのアルファ(Alfa-RomeoとAlpha Tauri)が存在するので、何とも紛らわしい。

 また、2021年シーズンには、レーシングポイントチーム(こちらの前身はジョーダン、そしてミッドランド、スパイカー、フォースインディアと名称を変えていった)がアストンマーチンレーシングとして参戦することが発表された。

 こちらは、アストンマーチンがレーシングポイントを買収したのではなく、レーシングポイントのドライバーのひとり、ランス・ストロールの父親で、チームのオーナーでもあるカナダの実業家、ローレンス・ストロール率いる投資グループが、自動車メーカーのアストンマーチンの株式を取得し、大株主になったことで実現した「名称変更」というから驚きだ。

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