7人の日本人ライダー総括。MotoGP中上貴晶は手術からの復活を誓う (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

Moto3の日本人ランキング最上位は総合8位の鈴木竜生Moto3の日本人ランキング最上位は総合8位の鈴木竜生 今年が世界選手権フル参戦デビューの小椋藍(Honda Team Asia)はランキング10位。初年度ながらシーズン前半戦からフロントローを獲得する速さを見せ、第14戦・アラゴンGPでは2位表彰台も獲得した。

「今季の目標にしていた高い目標には届かなかったのですが、現実的な予想よりも上位では終われたので、まずまずの一年だったと思います。来年はどのコースでも強さとスピードを発揮することを目指し、チャンピオンシップ3位以内を目標にします」

 クラス3年目のシーズンになった鳥羽海渡(Honda Team Asia)は、開幕戦優勝という劇的なスタートを切ったものの、以後のレースでは転倒ノーポイントが続いた。最終的にはランキング19位という厳しい結果。

「優勝から始まったシーズン序盤はよかったのですが、悪い流れを断ち切れず、最悪な一年になってしまいました。でも、どうすればチャンピオン争いをできるのか、ということも勉強になった年でした」

 来年は、3年間過ごしたチームとホンダ陣営を離れ、Red Bull KTM Ajoへ移籍する。

「多くのことを学べたHonda Team Asiaには、すごく感謝をしています。この経験を活かして、新しいバイクとチームで来年は毎戦トップ争いをするようにがんばります。トップグループを毎戦争えれば、チャンピオンも争えると思うので、集中して臨みます」

 鳥羽と同様に、佐々木歩夢も3年間過ごしたPetronas Sprinta Racingとホンダ陣営を離れ、KTM陣営のRed Bull KTM Tech3へ移籍する。今回の最終戦は、前戦マレーシアGPで右手を骨折した影響で厳しいレースウィークを過ごしたが、19位で完走を果たした。年間ランキングは20位。

「転べない状況だったので、手が痛い状況でも、とにかくゴールを目指して終えることができました。このチームで最も学べたのは〈最後まであきらめない〉ことだったので、それを最後に見せることができてよかったと思います。今年はトラブルも多い一年だったけど、あきらめないことを学び、メンタルも強くなりました。来年はチームも環境も変わるので、気持ちをリセットしてプレシーズンテストに備えます」

 真崎一輝(BOE Skull Rider Mugen Race)はポイント獲得に苦しむ厳しいシーズンを過ごし、最終戦は16位でレースを終えた。ランキングは27位。

「今年はとてもタフな厳しいシーズンでした。精神的に弱くなりそうにもなりましたが、どうにか踏ん張ってきました。この経験以上にキツいことは、もう二度とないと思います」

 2020年の真崎は、2年間過ごした世界選手権の場をいったん離れ、活動の舞台をFIM CEVレプソル選手権のMoto3クラスへと移す。

「この2年間で得た経験を活かして、来年はチャンピオンを目指して初戦からしっかり走り、2021年にはここへ戻ってくることができるようにがんばります」

 2009年以降のこの10年間、日本人選手はどのクラスでもチャンピオンの座から遠く離れる状態が続いている。2020年は、はたしてその流れを断ち切るシーズンになるだろうか。

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