26歳で8度目。マルケスは「いつもと同じように」王座を獲得した (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「ミザノでは最終コーナーで勝負できなかった。今回は勝負したけど、向こうが対応してインを閉めてくるかどうかはわからなかったので(クロスラインで抜き返されて)相手のタイヤが見えた時は、もう本当に悔しかった。でも、オースティン(第3戦・アメリカズGP)以外でずっと表彰台に上がっていて、長年MotoGPのトップに立っているマルクと勝負をできて、とてもよかった」

 一方、2位で無難にゴールしても王座を確定できる状態だったにもかかわらず、それに甘んじることなく、あくまで優勝で通算8回目のタイトルを飾るという、いかにもこの選手らしいチャンピオン獲得劇を決めたマルケスは、次の第16戦・日本GPに2019年世界チャンピオンとして乗り込むことになる。

 会場のツインリンクもてぎは、ホンダのホームコースだけに、まさに凱旋と呼ぶにふさわしい。今回の王座獲得で、使命を無事に果たした気分かどうか、レース後のマルケスに訊いてみた。

「もてぎでタイトルを決めたいと思う人もいたかもしれないけど、昨日(HRC社長の)野村(欣滋/よししげ)さんにリサーチしてみたら、『タイで決めてほしい』ということだった。『プレッシャーをかけてくれて、ありがとう』と思ったけど(笑)、勝つことができたので、今はこの勝利を愉しみたい。

 でも、今年の使命はまだ終わったわけじゃなくて、コンストラクターズタイトルはいい調子でリードをしているし、チームタイトルもドゥカティに対して19点差に迫っている。簡単じゃないけど、がんばって(ライダー、コンストラクター、チームの)三冠を達成し、いい形で締めくくりたい。だから、そのつもりで気を抜かず、もてぎへ臨むよ」

 2013年のMotoGP昇格以来、マルケスは数々の最年少記録を更新してきたが、今回の王座獲得により、6度目の最高峰クラスチャンピオンおよび8回目の年間総合優勝の最年少記録も更新した。

 現在、26歳。今後もさらに数々の記録を塗り替えてゆくだろう。そして来年は、さらに彼よりも若い20歳の才能がその王座を脅かしていくこともまた、確実である。

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