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佐藤琢磨「最後ボロボロは自分らしい」。
今季のインディカーを総括 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 今やアンドレッティ・オートスポートのエースとなっているロッシだが、彼らのサテライトチーム的存在である、技術提携を"してあげている"ハーディング・スタインブレナー・レーシングのハータより予選で遅いことが、17戦中6回もあった。シーズン最後の2レースは、ハータが連続PPを獲得したのに対し、ロッシは7位と3位。そして、予選以上に重要なインディカーの長距離のレースで勝負の鍵を握る、いかにタイヤをセーブして走るかというドライビングに関しては、後輩のハータの方がより洗練されたものを身につけつつある。

「予選1、2位のドライバーたちと違う作戦にしたかった。優勝を争う相手は彼らになると考えていたからだ。彼らは新品のソフトタイヤでいくと考え、自分たちは予選で使ったソフトを装着。それで序盤は苦戦し、ハードタイヤでの自分たちの速さを優位につなげることができなかった。ギャンブル的作戦を採らなくても、普通に戦ってタイトルを争える状況として最終戦を迎えたかった」

 2年連続でタイトル目前までいきながら逃したロッシは、そう言って悔しがった。

 ロッシと1点差で、同じく逆転タイトルの可能性があったのが、2016年チャンピオンで、今年のインディ500ウィナーのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。予選6位から時間をかけて2番手までポジションを上げると、その時点でのニューガーデンは8番手を走行しており、もしハータを攻略して優勝すれば2度目のタイトルに......という状況だった。ベテランらしい粘り強い戦いを見せていたが、その後、ディクソンの逆襲を受け、さらにはパワーにもパスされて4位に終わった。それでもポイントでロッシを逆転、シーズンランキング2位の座を手に入れた。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、初めて戦うラグナセカで順調にマシンを仕上げていったが、予選のコンディションに対応したファインチューニングに失敗し、予選順位は16位だった。それでもレースではハイペースを実現。トップ10フィニッシュ目前まで順位を上げたところで、サンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)に激突された。

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