佐藤琢磨「最後ボロボロは自分らしい」。今季のインディカーを総括

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2019年インディカー・シリーズの最終戦は、カリフォルニア州のサンフランシスコから南に100マイルほどのモントレーというエリアで行なわれた。海からすぐの丘陵地帯に作られたアップダウンの激しいウェザーテック・レースウェー・ラグナセカでのインディカーレースは2004年以来だ。

来季もレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングでフル参戦すると発表した佐藤琢磨来季もレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングでフル参戦すると発表した佐藤琢磨 予選では、シリーズ第2戦で初優勝を飾った19歳のスーパールーキー、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)がポールポジション(PP)を獲得。早くもキャリア3回目、しかも2戦連続のPPを手にしたハータは、レースでも他を寄せ付けない走りを見せて完勝を飾った。

 しかも、序盤は現役最多で史上2番目のタイトル獲得数(5回)を誇り、歴代3位の通算46勝を挙げているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)と、終盤は2014年チャンピオンで、歴代2位のPP獲得数(57)、歴代6位タイの通算37勝を挙げているウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を相手に戦い、彼らの執拗な攻撃を見事に跳ね除けた。90周のレース中、83周をリードしての勝ちっぷりは、ルーキーとは思えない堂々たるもの。今シーズンはランキング7位に終わったが、来季はシリーズの中心的存在となりそうだ。

「ポートランド(前戦)でも自分たちは速かったが、タイヤを摩耗させ過ぎた。その失敗に学び、最終戦ではタイヤにダメージを与えないマシンを作り上げた。今日の僕らはディクソンや(シモン・)パジェノーよりタイヤをうまく使えていた。勝てる力が僕らにはあったということ。最後にアタックしてきたパワーには別格の速さがあったが、それを抑え切ることができ、最後には突き放すことさえできたのだから、うれしい。来シーズンが今から本当に楽しみだ」(ハータ)

 注目のチャンピオン争いは、4位以上でゴールすればライバルたちの順位に関係なく王座を手に入れられる状況にあったポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が、予選4位から8位でゴールし、自身2度目のシリーズ制覇を達成した。

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